Fragment1 「旅のチケット」
―――夕暮れの空が広がる、とある公園。
泥だらけになるまで遊んでいた子供達が母親の手に引かれたり、共に遊んでいた友達同士が笑いながら家へと帰宅する。
そんなほのぼのとした光景の中、公園にある木で作られたベンチで一人の少年が溜め息を吐いていた。
「…はぁ…」
少年は青い瞳で、ショートの灰色の髪に茶色のニット帽を深く被っている。
ちなみに、服装は黒の長ズボンに青のスニーカー。白のシャツには青いハートのマークが書かれており、黄色の裾の無いジャケットを羽織り首には赤のマフラーを巻いている。
少年は目をぼんやりとさせて顔を上げると、黄昏に染まった空を眺め始めた。
「思い切って家を飛び出したまでは良かったんだけど…――何処に行こうかな…」
そう呟くと再び少年は溜め息を吐き、やがて腕を組んで思考を巡らせる。
「イオン先輩やエリーゼ先輩の所だと、ソラさんやロクサスさんが世話を焼きそうだし……だからと言って、アクセルさんやテラ先生達の所も気が引けるし…」
次々と自分の知り合いを思い浮かべるが、どれもこれも良い案とは言えず更に頭を捻らせる。
「師匠の家なんて論外だもんなぁ…――だからと言って、寮に泊まると絶対にバレるし…」
「――おや? こんな場所でどうしたんです?」
そうやってブツブツと呟きながら考えていると、横から声が掛けられる。
少年が目を向けると、そこには長い銀髪に青の瞳、ダークスーツに身を纏わせた黒縁眼鏡を掛けた少年が立っている。
この人物に、少年はさほど驚く様子も無く普通に話し掛けた。
「あ、ジャスさん。どうしてここに?」
「少し野暮用がありましてね。隣、座りますよ」
そう言うなり、ジャスは少年の隣に座り込む。
この行動に少年が何処か不満そうに睨む。しかし、その視線を無視しているかの如くジャスは質問をした。
「それで、ここで何をしているんです?」
その言葉に、少年は顔を俯かせて呟いた。
「……ボク、家出してきたんだ」
「家出、ですか?」
「そうだよ。でも、これからどこに行けばいいか分からなくて…」
と、途中から少年は恥ずかしくなったのか小さく呟く。
顔を俯かせたまま黙り込む少年に、ジャスは首を傾げた。
「ご両親に謝らないのですか?」
「何でボクが謝らなきゃいけないのさっ!!! 悪いのはあっちなんだっ!!!」
「それでも戻らざるを得ないでしょうに。計画性も無く飛び出したんですから」
「それは…っ!」
怒鳴って反論するが、ジャスの正論とも言える言葉に少年は口篭もってしまう。
二人の周りに何とも言えない空気に包まれていると、ジャスが口を開いた。
「――そんなに嫌なら、遠くまで家出してみます?」
予想もしなかった言葉に、少年の目が見開く。
思わずジャスを見ると、何処か真剣な表情でこちらを見ている。
この様子に、少年は訝しげに首を傾げた。
「遠くまで?」
「ええ。普通ならば、誰も追ってこられないような場所ですよ」
「そこって何処なのさ?」
少年が聞くと、ジャスは眼鏡を指で掛け直してにこやかに笑う。
同時に、ポケットに手を入れて言い放った。
「過去の異世界です」
そう言って取り出したのは、一枚の白いカードだった…。
泥だらけになるまで遊んでいた子供達が母親の手に引かれたり、共に遊んでいた友達同士が笑いながら家へと帰宅する。
そんなほのぼのとした光景の中、公園にある木で作られたベンチで一人の少年が溜め息を吐いていた。
「…はぁ…」
少年は青い瞳で、ショートの灰色の髪に茶色のニット帽を深く被っている。
ちなみに、服装は黒の長ズボンに青のスニーカー。白のシャツには青いハートのマークが書かれており、黄色の裾の無いジャケットを羽織り首には赤のマフラーを巻いている。
少年は目をぼんやりとさせて顔を上げると、黄昏に染まった空を眺め始めた。
「思い切って家を飛び出したまでは良かったんだけど…――何処に行こうかな…」
そう呟くと再び少年は溜め息を吐き、やがて腕を組んで思考を巡らせる。
「イオン先輩やエリーゼ先輩の所だと、ソラさんやロクサスさんが世話を焼きそうだし……だからと言って、アクセルさんやテラ先生達の所も気が引けるし…」
次々と自分の知り合いを思い浮かべるが、どれもこれも良い案とは言えず更に頭を捻らせる。
「師匠の家なんて論外だもんなぁ…――だからと言って、寮に泊まると絶対にバレるし…」
「――おや? こんな場所でどうしたんです?」
そうやってブツブツと呟きながら考えていると、横から声が掛けられる。
少年が目を向けると、そこには長い銀髪に青の瞳、ダークスーツに身を纏わせた黒縁眼鏡を掛けた少年が立っている。
この人物に、少年はさほど驚く様子も無く普通に話し掛けた。
「あ、ジャスさん。どうしてここに?」
「少し野暮用がありましてね。隣、座りますよ」
そう言うなり、ジャスは少年の隣に座り込む。
この行動に少年が何処か不満そうに睨む。しかし、その視線を無視しているかの如くジャスは質問をした。
「それで、ここで何をしているんです?」
その言葉に、少年は顔を俯かせて呟いた。
「……ボク、家出してきたんだ」
「家出、ですか?」
「そうだよ。でも、これからどこに行けばいいか分からなくて…」
と、途中から少年は恥ずかしくなったのか小さく呟く。
顔を俯かせたまま黙り込む少年に、ジャスは首を傾げた。
「ご両親に謝らないのですか?」
「何でボクが謝らなきゃいけないのさっ!!! 悪いのはあっちなんだっ!!!」
「それでも戻らざるを得ないでしょうに。計画性も無く飛び出したんですから」
「それは…っ!」
怒鳴って反論するが、ジャスの正論とも言える言葉に少年は口篭もってしまう。
二人の周りに何とも言えない空気に包まれていると、ジャスが口を開いた。
「――そんなに嫌なら、遠くまで家出してみます?」
予想もしなかった言葉に、少年の目が見開く。
思わずジャスを見ると、何処か真剣な表情でこちらを見ている。
この様子に、少年は訝しげに首を傾げた。
「遠くまで?」
「ええ。普通ならば、誰も追ってこられないような場所ですよ」
「そこって何処なのさ?」
少年が聞くと、ジャスは眼鏡を指で掛け直してにこやかに笑う。
同時に、ポケットに手を入れて言い放った。
「過去の異世界です」
そう言って取り出したのは、一枚の白いカードだった…。
■作者メッセージ
これにて《未来》を現す断章の始まりは一旦終了です。
本来ならばこの場を借りて第一章のキャラの紹介とかをしたいのですが…とりあえず、次の次の次ぐらいにでもします(オイ
尚、この話に登場した「ジャス」と言うのは前の小説掲示板で交流を持っていた「ヒロ」と言う方が作ったオリキャラでして…元々お借りしていたし登場もさせていたので、大丈夫かなと思って今回もこうして出す事に決めました。
次は夢さんにバトンタッチします。お忙しいでしょうが、宜しくお願いします。
本来ならばこの場を借りて第一章のキャラの紹介とかをしたいのですが…とりあえず、次の次の次ぐらいにでもします(オイ
尚、この話に登場した「ジャス」と言うのは前の小説掲示板で交流を持っていた「ヒロ」と言う方が作ったオリキャラでして…元々お借りしていたし登場もさせていたので、大丈夫かなと思って今回もこうして出す事に決めました。
次は夢さんにバトンタッチします。お忙しいでしょうが、宜しくお願いします。