Another chapter8 Sora side‐3
洞窟の中は煌めいているのに、先に進むにつれて何処か不穏な空気が漂っている。
それを肌で感じつつ、五人が警戒しながら歩いていた時だった。
「――キャアアアァ!!」
突然、奥の方で少女の悲鳴が響き渡る。
これを聞き、ソラは焦りを浮かべてリクに振り返る。
「リク、今の悲鳴!?」
「あっちか!?」
悲鳴のした方を見て、すぐに五人は駆けだす。
丁度壁に空いた穴ような道を潜り抜けると、足場が広い場所に出た。
「皆、あれっ!!」
それと同時に、カイリが前方に指を差す。
見ると、魚やクラゲのようなハートレスが座り込んでいる少女の周りを囲んでいる。
「ハートレス!!」
「青い髪と目をした女の子…あの子がリリィか!?」
ソラがキーブレードを取り出すと、ヴェンも少女を見てキーブレードを取り出す。
その時、腰を抜かして蹲っている少女にハートレスが一斉に飛びかかる。
それを見たリクは、一気に駆け出してキーブレードを振るってハートレス達を消し去った。
「大丈夫か!?」
「ハ、ハイ…!」
キーブレードを下ろしてリクが声をかけると、少女は戸惑いつつも頷き返す。
少女を見ると、腰まで伸ばしたストレートの青い髪に深い青い目をしている。服装は白い半袖のブラウスにピンクのチェックの入ったミニスカートを穿いている。
少女を立ち上がらせようとリクが手を伸ばした途端、再びハートレスが現れる。すぐに構えると、ソラとヴェンも少女を守るように前に立った。
「ここは俺達に任せて!!」
「頼むな、オパール!!」
「もちろん。さ、こっちに来て!」
ヴェンに言葉を返すと、オパールは少女の手を取って後ろにいるカイリの所へと走っていく。
こうして少女を安全な所に連れて行くのを見て、リクは二人に向かって叫んだ。
「行くぞ! ソラ、ヴェン!」
「ああ!」
「任せとけって!」
二人が笑いながらリクに頷くと同時に、周りのハートレスが襲い掛かった。
「いけぇ!!」
そんなハートレス達にソラは突進突きを繰り出すと、振り向き際に更に突進を繰り出す。
『ソニックレイヴ』で攻撃を回避しつつ、ソラは着々とダメージを与えていく。
「そこだっ!!」
このソラの攻撃に便乗するように、ヴェンがキーブレードを投げつけて弱ったハートレスを消していく。
『ストライグレイド』を使っていると、隙を狙ってか一匹のハートレスがヴェンの後ろから襲い掛かる。
「はぁ!!」
だが、ヴェンを襲おうとしたハートレスを、リクが『ダークブレイク』で上空から突きを繰り出して消し去る。
着々とハートレスの数を減らす三人から離れた所では、カイリが座り込んで少女と目線を合わせていた。
「大丈夫? 怪我は?」
「は、はい…! ありがとうございます」
「ううん、気にしないで」
お礼を述べる少女に、カイリは微笑み返して首を振る。
そんな中、オパールはハートレスから二人を守るように武器を持って前に立っている。
そうして三人の戦いを見ていると、ある事に気づいた。
「ここのハートレスって、もしかして水系ばっかり…?」
見た目が魚類で水を使った攻撃を仕掛けてくるのに気づき、ある思考を巡らせるとアイテムを入れているポーチに手を伸ばした。
(“アレ”を試してみる、絶好の機会ね…)
心の中で呟くと、合成アイテムで作られた一つの透き通った黄色の結晶を取り出す。
そのまま結晶を握りしめると、目の前で戦っているリクに向かって叫んだ。
「リク!! コレ、使って!!」
「え!?」
急に声をかけられ、リクは思わず動きを止める。
すかさずオパールは結晶を投げつけると、リクの身体が光りだした。
「これは…!?」
光が収まると同時に、リクの体に電気が帯びる。
この光景に驚いていると、数匹ものハートレスが飛びかかる。
向かってきたハートレスに、リクはすぐに突きを放った。
「はあっ!」
ただの突きなのに、何とキーブレードの先端から電撃が飛びハートレスを巻き込む。
こうしてハートレスが消滅したのを見て、リクは目を見開きながら電撃を帯びるキーブレードを見た。
「攻撃がさっきより効いてるし、体も軽い…!?」
「凄いな、リク!! オパール、それ俺にもやって!!」
この強化されたリクの攻撃に、ソラは目を輝かせながらオパールに頼む。
だが、オパールは申し訳なさそうに顔の前で手を合わせた。
「あー、ごめん。その『サンダーストーム』、一個しか作ってなくって…」
「えー!? 俺もやりたいー!!」
思わずソラが文句を言っていると、天井から巨大な何かが足場の中央に落ちてきた。
「何だ!?」
思わぬ事態に、リクが動きを止めて落ちてきたものを見る。
そこには何本もの触手を持ち、身体は丸く先端が尖っているカラフルなハートレスが中央に陣取っていた。
「で、でかい…!?」
「タコ…って言うか、イカ!?」
ヴェンが唖然とすると、ソラも目を丸くしながら思った事を叫ぶ。
すると、ソラの言葉にハートレスは怒ったのか無造作に触手を動かして攻撃してきた。
「うわぁ!?」
「きゃあ!?」
怒りが混ざった攻撃にリクとオパールが悲鳴を上げ、それぞれがバラバラになる。
そうして避ける中、ソラを重点的に狙って足元に触手が叩きつけられる。
どうにか攻撃を避けていると、攻撃に耐えられなかったのか立っている足場が崩れ出した。
「えええっ!?」
「ソラっ!!」
足場の下に広がる激流に落ちそうになるソラを、リクが急いで手を伸ばす。
崩れた足場から落ちる寸前で、どうにかリクは手を掴んで支えた。
「大丈夫か!?」
「あ…ありがと、リク…!」
ギリギリの所で助けられ、ソラが笑顔を浮かべる。
その時、再び触手が叩きつけられて足場が振動した。
「「うわぁ!?」」
無理な体制だったためか、さすがに耐えきれず二人はバランスを崩してしまう。
このまま二人一緒に渓谷に落ちようとした時、リクが動いた。
「くっ…!」
「え…?」
急に強く引っ張られ、ソラの景色が反転する。
先程まで見えていた天井と自分と手を繋ぐリクの姿。だが目の前には、何故か渓谷に落ちる様にリクが遠ざかっている。
ここでようやく、ソラはリクと自分の位置が入れ替わったのに気付いた。
「リ――!?」
「リクッ!!」
足場の方へ放り投げられたソラは、遠ざかるリクに必死で手を伸ばす。
それと同時に、オパールがいち早く駆け出すと崩れた足場から飛び出して、渓谷へ落ちるリクの手を掴んだ。
「うくっ…!!」
そうして、崩れた足場の出っ張った部分に手をかけるが顔を歪める。
年下の少年とは言え、一人の男の体重を片手で持った状態でぶら下がっているのだ。年上とは言え、一般的な女性にこの状態は厳しい。
それでも落ちまいと握った手を震わせていると、その手を掴まれる。
見ると、あの少女が身体を地面に付けてオパールの手を両手で掴んでいた。
「だ…大丈夫、ですか…!?」
「あ、ありがとね…!!」
辛そうにしつつもオパールが少女に笑いかけていると、もう片方に掴んでいるリクが声を上げた。
「オパール、何で…!?」
「それは、こっちのセリフよ…!! 身代わりになるって、何考えて――!!」
思わず言い返していると、自分達の近くでピシピシと音が鳴る。
ぶら下がっている二人が顔を上げると、限界が来たのか少女のいる足場ごと地面が真っ二つに割れた。
「「「え…?」」」
この光景に理解が追いつかず三人が声を上げた瞬間、真っ逆さまに急降下した。
「うわあああああああああっ!!!」
「「きゃあああああああああっ!!?」」
「「リク!?」」
「オパール!!」
巻き込まれずに済んだソラとカイリ、そしてヴェンが叫ぶが、三人は渓谷の激流に水飛沫を上げて沈んでしまう。
突然の事に茫然としてしまうが、その間にもハートレスが襲い掛かってくる。
「ソラ、ますはこいつを何とかしないとっ!!」
ヴェンが声をかけながら一体のハートレスを蹴散らすと、ソラは悔しそうにキーブレードに魔力を込める。
「邪魔するなよな!! 『サンダガ』!!」
キーブレードを掲げて広い範囲に雷を落とすと、大型ハートレス以外を全滅させる。
「まだだ!! 『トルネド』!!」
残った大型ハートレスに向かって、ヴェンもキーブレードを掲げて竜巻を発生させる。
そうして上空へと巻き上げていると、ハートレスは脱出しようと無理やり触手を動かすと天井に当たる。
すると天井が崩れ、竜巻を操るヴェンの真上から岩が落ちてきた。
「ヴェン、危ない!?」
「守りよ!!」
カイリの悲鳴に、ソラが駆け付けて魔法の障壁を張り巡らせる。
『リフレガ』を使ってヴェンを守ると、魔法が解けてハートレスが落ちてくる。
高い所から地面に叩きつけられたハートレスに、二人はキーブレードを構えた。
「いい加減に…!!」
「どっかに行けぇ!!」
そう叫びながらキーブレードを輝かせると、キーブレードを地面に突き刺した。
「「『ホーリーウィング』っ!!!」」
辺り一帯に光の柱を立ち上らせてハートレスを打ち上げると、二人を中心に激しい光が襲い掛かる。
やがて光が収まるとハートレスは壁に激突していて、ズルリと滑りながら谷底へと落ちて行った。
「どうにか、倒したか…!?」
「それより、三人は!?」
ヴェンが息を荒くしてハートレスの落ちた場所を見ると、カイリが崖となった足場に駆け寄る。
同じくソラも近づいて覗き込むが、下は激しい水の激流しかなく三人の姿は何処にも無かった。
「おーい!! リクー!!」
「オパール!! 返事してー!!」
ソラとカイリが大声で叫ぶが、声は虚しく辺りに反響するだけだった。
「こうなったら…!!」
目に決意を宿らせると、ソラは後ろに歩いて距離を取る。
今にも飛び込もうとするソラを見て、すぐにカイリが両手を広げて立ち憚った。
「駄目よ、ソラ!?」
「だけど!!」
「気持ちは分かるけど、あまりにも無茶でしょ!? もっと自分の事を考えて!!」
カイリが攻める様に言うと、さすがのソラも落ち着きを取り戻して頭を下げた。
「ごめん…」
ソラの言葉に、カイリは軽くを吐くが表情は冴えない。
離れ離れとなって落ち込む二人に、ヴェンが恐る恐る声をかけた。
「えっと…三人共、きっと大丈夫だって。奥に行って探してみよう? な?」
「…うん」
ヴェンの提案に、落ち込みながらもゆっくりとソラが頷いた。
それを肌で感じつつ、五人が警戒しながら歩いていた時だった。
「――キャアアアァ!!」
突然、奥の方で少女の悲鳴が響き渡る。
これを聞き、ソラは焦りを浮かべてリクに振り返る。
「リク、今の悲鳴!?」
「あっちか!?」
悲鳴のした方を見て、すぐに五人は駆けだす。
丁度壁に空いた穴ような道を潜り抜けると、足場が広い場所に出た。
「皆、あれっ!!」
それと同時に、カイリが前方に指を差す。
見ると、魚やクラゲのようなハートレスが座り込んでいる少女の周りを囲んでいる。
「ハートレス!!」
「青い髪と目をした女の子…あの子がリリィか!?」
ソラがキーブレードを取り出すと、ヴェンも少女を見てキーブレードを取り出す。
その時、腰を抜かして蹲っている少女にハートレスが一斉に飛びかかる。
それを見たリクは、一気に駆け出してキーブレードを振るってハートレス達を消し去った。
「大丈夫か!?」
「ハ、ハイ…!」
キーブレードを下ろしてリクが声をかけると、少女は戸惑いつつも頷き返す。
少女を見ると、腰まで伸ばしたストレートの青い髪に深い青い目をしている。服装は白い半袖のブラウスにピンクのチェックの入ったミニスカートを穿いている。
少女を立ち上がらせようとリクが手を伸ばした途端、再びハートレスが現れる。すぐに構えると、ソラとヴェンも少女を守るように前に立った。
「ここは俺達に任せて!!」
「頼むな、オパール!!」
「もちろん。さ、こっちに来て!」
ヴェンに言葉を返すと、オパールは少女の手を取って後ろにいるカイリの所へと走っていく。
こうして少女を安全な所に連れて行くのを見て、リクは二人に向かって叫んだ。
「行くぞ! ソラ、ヴェン!」
「ああ!」
「任せとけって!」
二人が笑いながらリクに頷くと同時に、周りのハートレスが襲い掛かった。
「いけぇ!!」
そんなハートレス達にソラは突進突きを繰り出すと、振り向き際に更に突進を繰り出す。
『ソニックレイヴ』で攻撃を回避しつつ、ソラは着々とダメージを与えていく。
「そこだっ!!」
このソラの攻撃に便乗するように、ヴェンがキーブレードを投げつけて弱ったハートレスを消していく。
『ストライグレイド』を使っていると、隙を狙ってか一匹のハートレスがヴェンの後ろから襲い掛かる。
「はぁ!!」
だが、ヴェンを襲おうとしたハートレスを、リクが『ダークブレイク』で上空から突きを繰り出して消し去る。
着々とハートレスの数を減らす三人から離れた所では、カイリが座り込んで少女と目線を合わせていた。
「大丈夫? 怪我は?」
「は、はい…! ありがとうございます」
「ううん、気にしないで」
お礼を述べる少女に、カイリは微笑み返して首を振る。
そんな中、オパールはハートレスから二人を守るように武器を持って前に立っている。
そうして三人の戦いを見ていると、ある事に気づいた。
「ここのハートレスって、もしかして水系ばっかり…?」
見た目が魚類で水を使った攻撃を仕掛けてくるのに気づき、ある思考を巡らせるとアイテムを入れているポーチに手を伸ばした。
(“アレ”を試してみる、絶好の機会ね…)
心の中で呟くと、合成アイテムで作られた一つの透き通った黄色の結晶を取り出す。
そのまま結晶を握りしめると、目の前で戦っているリクに向かって叫んだ。
「リク!! コレ、使って!!」
「え!?」
急に声をかけられ、リクは思わず動きを止める。
すかさずオパールは結晶を投げつけると、リクの身体が光りだした。
「これは…!?」
光が収まると同時に、リクの体に電気が帯びる。
この光景に驚いていると、数匹ものハートレスが飛びかかる。
向かってきたハートレスに、リクはすぐに突きを放った。
「はあっ!」
ただの突きなのに、何とキーブレードの先端から電撃が飛びハートレスを巻き込む。
こうしてハートレスが消滅したのを見て、リクは目を見開きながら電撃を帯びるキーブレードを見た。
「攻撃がさっきより効いてるし、体も軽い…!?」
「凄いな、リク!! オパール、それ俺にもやって!!」
この強化されたリクの攻撃に、ソラは目を輝かせながらオパールに頼む。
だが、オパールは申し訳なさそうに顔の前で手を合わせた。
「あー、ごめん。その『サンダーストーム』、一個しか作ってなくって…」
「えー!? 俺もやりたいー!!」
思わずソラが文句を言っていると、天井から巨大な何かが足場の中央に落ちてきた。
「何だ!?」
思わぬ事態に、リクが動きを止めて落ちてきたものを見る。
そこには何本もの触手を持ち、身体は丸く先端が尖っているカラフルなハートレスが中央に陣取っていた。
「で、でかい…!?」
「タコ…って言うか、イカ!?」
ヴェンが唖然とすると、ソラも目を丸くしながら思った事を叫ぶ。
すると、ソラの言葉にハートレスは怒ったのか無造作に触手を動かして攻撃してきた。
「うわぁ!?」
「きゃあ!?」
怒りが混ざった攻撃にリクとオパールが悲鳴を上げ、それぞれがバラバラになる。
そうして避ける中、ソラを重点的に狙って足元に触手が叩きつけられる。
どうにか攻撃を避けていると、攻撃に耐えられなかったのか立っている足場が崩れ出した。
「えええっ!?」
「ソラっ!!」
足場の下に広がる激流に落ちそうになるソラを、リクが急いで手を伸ばす。
崩れた足場から落ちる寸前で、どうにかリクは手を掴んで支えた。
「大丈夫か!?」
「あ…ありがと、リク…!」
ギリギリの所で助けられ、ソラが笑顔を浮かべる。
その時、再び触手が叩きつけられて足場が振動した。
「「うわぁ!?」」
無理な体制だったためか、さすがに耐えきれず二人はバランスを崩してしまう。
このまま二人一緒に渓谷に落ちようとした時、リクが動いた。
「くっ…!」
「え…?」
急に強く引っ張られ、ソラの景色が反転する。
先程まで見えていた天井と自分と手を繋ぐリクの姿。だが目の前には、何故か渓谷に落ちる様にリクが遠ざかっている。
ここでようやく、ソラはリクと自分の位置が入れ替わったのに気付いた。
「リ――!?」
「リクッ!!」
足場の方へ放り投げられたソラは、遠ざかるリクに必死で手を伸ばす。
それと同時に、オパールがいち早く駆け出すと崩れた足場から飛び出して、渓谷へ落ちるリクの手を掴んだ。
「うくっ…!!」
そうして、崩れた足場の出っ張った部分に手をかけるが顔を歪める。
年下の少年とは言え、一人の男の体重を片手で持った状態でぶら下がっているのだ。年上とは言え、一般的な女性にこの状態は厳しい。
それでも落ちまいと握った手を震わせていると、その手を掴まれる。
見ると、あの少女が身体を地面に付けてオパールの手を両手で掴んでいた。
「だ…大丈夫、ですか…!?」
「あ、ありがとね…!!」
辛そうにしつつもオパールが少女に笑いかけていると、もう片方に掴んでいるリクが声を上げた。
「オパール、何で…!?」
「それは、こっちのセリフよ…!! 身代わりになるって、何考えて――!!」
思わず言い返していると、自分達の近くでピシピシと音が鳴る。
ぶら下がっている二人が顔を上げると、限界が来たのか少女のいる足場ごと地面が真っ二つに割れた。
「「「え…?」」」
この光景に理解が追いつかず三人が声を上げた瞬間、真っ逆さまに急降下した。
「うわあああああああああっ!!!」
「「きゃあああああああああっ!!?」」
「「リク!?」」
「オパール!!」
巻き込まれずに済んだソラとカイリ、そしてヴェンが叫ぶが、三人は渓谷の激流に水飛沫を上げて沈んでしまう。
突然の事に茫然としてしまうが、その間にもハートレスが襲い掛かってくる。
「ソラ、ますはこいつを何とかしないとっ!!」
ヴェンが声をかけながら一体のハートレスを蹴散らすと、ソラは悔しそうにキーブレードに魔力を込める。
「邪魔するなよな!! 『サンダガ』!!」
キーブレードを掲げて広い範囲に雷を落とすと、大型ハートレス以外を全滅させる。
「まだだ!! 『トルネド』!!」
残った大型ハートレスに向かって、ヴェンもキーブレードを掲げて竜巻を発生させる。
そうして上空へと巻き上げていると、ハートレスは脱出しようと無理やり触手を動かすと天井に当たる。
すると天井が崩れ、竜巻を操るヴェンの真上から岩が落ちてきた。
「ヴェン、危ない!?」
「守りよ!!」
カイリの悲鳴に、ソラが駆け付けて魔法の障壁を張り巡らせる。
『リフレガ』を使ってヴェンを守ると、魔法が解けてハートレスが落ちてくる。
高い所から地面に叩きつけられたハートレスに、二人はキーブレードを構えた。
「いい加減に…!!」
「どっかに行けぇ!!」
そう叫びながらキーブレードを輝かせると、キーブレードを地面に突き刺した。
「「『ホーリーウィング』っ!!!」」
辺り一帯に光の柱を立ち上らせてハートレスを打ち上げると、二人を中心に激しい光が襲い掛かる。
やがて光が収まるとハートレスは壁に激突していて、ズルリと滑りながら谷底へと落ちて行った。
「どうにか、倒したか…!?」
「それより、三人は!?」
ヴェンが息を荒くしてハートレスの落ちた場所を見ると、カイリが崖となった足場に駆け寄る。
同じくソラも近づいて覗き込むが、下は激しい水の激流しかなく三人の姿は何処にも無かった。
「おーい!! リクー!!」
「オパール!! 返事してー!!」
ソラとカイリが大声で叫ぶが、声は虚しく辺りに反響するだけだった。
「こうなったら…!!」
目に決意を宿らせると、ソラは後ろに歩いて距離を取る。
今にも飛び込もうとするソラを見て、すぐにカイリが両手を広げて立ち憚った。
「駄目よ、ソラ!?」
「だけど!!」
「気持ちは分かるけど、あまりにも無茶でしょ!? もっと自分の事を考えて!!」
カイリが攻める様に言うと、さすがのソラも落ち着きを取り戻して頭を下げた。
「ごめん…」
ソラの言葉に、カイリは軽くを吐くが表情は冴えない。
離れ離れとなって落ち込む二人に、ヴェンが恐る恐る声をかけた。
「えっと…三人共、きっと大丈夫だって。奥に行って探してみよう? な?」
「…うん」
ヴェンの提案に、落ち込みながらもゆっくりとソラが頷いた。