Another chapter2 Terra side‐1 「止まり、開かれし物語」
草木が少ない乾いた土地に、黒ずんだ煙があちこちに昇っている。
更には折れた剣や矢、壊れた鎧や甲冑がさまざまな場所に刺さって転がっている。
そんな争いの跡が見える世界に、茶髪の青年―――テラはやってきた。
「ここは…?」
ディスティニーアイランドを出発して辿り着いた世界に、テラは思わず辺りを見回す。
その時、遠くの方で火柱が立ち上がった。
「あれはっ!?」
突然の事に驚くも、すぐにキーブレードを取り出して火柱の方に向かった。
「はぁ、はぁ…!!」
灼熱の空気が辺りを包み、地面が燃え盛る中に一人の少年が蹲っていた。
全体的にツンツンが落ち着いた少し伸びた黒い髪に、黒の目をしている。服装は、ノースリーブの灰色のシャツとチャックの付いた黒い長ズボン。ベルトから後ろ側が黒いスカート状になっており、黒い手袋をしているがあちこちが焦げ付いている。
そんな少年の前には、ザンバラの黒い髪に濁った紫の瞳をした男が茜色の刀を持っていた。服装は黒藤色の着物にブーツを履いている。
男は何処か呆れた目で、未だに対峙する少年を見ていた。
「まだ、やるか?」
「うっせえ!! 元はと言えば、てめえが先に手を出したんだろうが!!」
血の気が多いのか、少年は手に持つ武器を両手で構え直す。
何時でも戦いを始められる少年の様子を見て、男は軽く溜め息を吐いた。
「仕方ない…一瞬で終わらせてやろう」
男は清廉された刀を握り、灼熱の炎を宿す。
ある程度離れていても焼けるような熱さが伝わったのか、少年は一歩後ずさる。
それを狙い、男は一気に駆け込んで炎を宿した刀で少年を斬り裂こうとした。
だが、それは一人の青年によって阻まれた。
「え…?」
「大丈夫かっ!?」
突然自分の前に現れた青年に、少年は思わず目を丸くする。
青年―――テラは炎に蝕まれながらも男を振り払うと、振り返って助けた少年を見る。
すると、ある事に気付いた。
「キーブレード!?」
少年の手には自分と同じ、選ばれた人しか持てない武器が握られていた。
形状はテラの持つキーブレードと違い、黒と白の翼が合わさったものだ。
予想もしなかった事に驚くテラに、少年は不快に思ったのか急に睨み付けた。
「どけよ!! てめえの助けなんていらねえ!!」
「だが――!!」
その時、三人の周りに妙な気配が走る。
すぐに背中合わせになって視線を巡らせると、鹿の形をした青い生物が三人の周りを囲むように現れた。
「アンヴァース!?」
すぐにテラがアンヴァースに向かって構えると、男も刀を握り直し標的をアンヴァースに変えた。
「どうやら、こいつらから倒す事が先決のようだな」
「チッ…!」
男の言葉に少年も軽く舌打ちするとキーブレードを構え、三人の戦闘態勢が整ったのを見てアンヴァースは一斉に襲い掛かった。
飛び掛るアンヴァースをテラは一気にキーブレードを横に振るって薙ぎ払う。
チラリと横で見ると、少年は空中に浮いているアンヴァースを空中で回転しつつ、素早い動作でキーブレードを振るって次々と斬り付けていた。
さらに別の場所を見ると、刀を持つ男は炎を纏わせて一刀両断に斬り付けて闇と共に灰に返している。
そうしてどうにか三人が全てのアンヴァースを倒し終えると、テラはキーブレードを消して二人を見た。
「すみません、助かりました」
「礼には及ばぬ」
「…………」
テラがお礼を言うと、男は返すが少年は目を逸らして口を閉じている。
そんな少年にテラは困った表情を浮かべるが、気を取り直して自己紹介を始めた。
「俺はテラと言います。あなた達の名前は?」
「無轟だ」
テラが聞くと、男―――無轟は答える。
「君は?」
「何であんたに教えなきゃならねーんだよ」
少年に問いかけるが、警戒しているのかテラを不機嫌そうに睨みつける。
これにテラが困惑していると、空気を読んだのか無轟が声をかけた。
「ここで話すのもなんだ。場所を移動しよう」
更には折れた剣や矢、壊れた鎧や甲冑がさまざまな場所に刺さって転がっている。
そんな争いの跡が見える世界に、茶髪の青年―――テラはやってきた。
「ここは…?」
ディスティニーアイランドを出発して辿り着いた世界に、テラは思わず辺りを見回す。
その時、遠くの方で火柱が立ち上がった。
「あれはっ!?」
突然の事に驚くも、すぐにキーブレードを取り出して火柱の方に向かった。
「はぁ、はぁ…!!」
灼熱の空気が辺りを包み、地面が燃え盛る中に一人の少年が蹲っていた。
全体的にツンツンが落ち着いた少し伸びた黒い髪に、黒の目をしている。服装は、ノースリーブの灰色のシャツとチャックの付いた黒い長ズボン。ベルトから後ろ側が黒いスカート状になっており、黒い手袋をしているがあちこちが焦げ付いている。
そんな少年の前には、ザンバラの黒い髪に濁った紫の瞳をした男が茜色の刀を持っていた。服装は黒藤色の着物にブーツを履いている。
男は何処か呆れた目で、未だに対峙する少年を見ていた。
「まだ、やるか?」
「うっせえ!! 元はと言えば、てめえが先に手を出したんだろうが!!」
血の気が多いのか、少年は手に持つ武器を両手で構え直す。
何時でも戦いを始められる少年の様子を見て、男は軽く溜め息を吐いた。
「仕方ない…一瞬で終わらせてやろう」
男は清廉された刀を握り、灼熱の炎を宿す。
ある程度離れていても焼けるような熱さが伝わったのか、少年は一歩後ずさる。
それを狙い、男は一気に駆け込んで炎を宿した刀で少年を斬り裂こうとした。
だが、それは一人の青年によって阻まれた。
「え…?」
「大丈夫かっ!?」
突然自分の前に現れた青年に、少年は思わず目を丸くする。
青年―――テラは炎に蝕まれながらも男を振り払うと、振り返って助けた少年を見る。
すると、ある事に気付いた。
「キーブレード!?」
少年の手には自分と同じ、選ばれた人しか持てない武器が握られていた。
形状はテラの持つキーブレードと違い、黒と白の翼が合わさったものだ。
予想もしなかった事に驚くテラに、少年は不快に思ったのか急に睨み付けた。
「どけよ!! てめえの助けなんていらねえ!!」
「だが――!!」
その時、三人の周りに妙な気配が走る。
すぐに背中合わせになって視線を巡らせると、鹿の形をした青い生物が三人の周りを囲むように現れた。
「アンヴァース!?」
すぐにテラがアンヴァースに向かって構えると、男も刀を握り直し標的をアンヴァースに変えた。
「どうやら、こいつらから倒す事が先決のようだな」
「チッ…!」
男の言葉に少年も軽く舌打ちするとキーブレードを構え、三人の戦闘態勢が整ったのを見てアンヴァースは一斉に襲い掛かった。
飛び掛るアンヴァースをテラは一気にキーブレードを横に振るって薙ぎ払う。
チラリと横で見ると、少年は空中に浮いているアンヴァースを空中で回転しつつ、素早い動作でキーブレードを振るって次々と斬り付けていた。
さらに別の場所を見ると、刀を持つ男は炎を纏わせて一刀両断に斬り付けて闇と共に灰に返している。
そうしてどうにか三人が全てのアンヴァースを倒し終えると、テラはキーブレードを消して二人を見た。
「すみません、助かりました」
「礼には及ばぬ」
「…………」
テラがお礼を言うと、男は返すが少年は目を逸らして口を閉じている。
そんな少年にテラは困った表情を浮かべるが、気を取り直して自己紹介を始めた。
「俺はテラと言います。あなた達の名前は?」
「無轟だ」
テラが聞くと、男―――無轟は答える。
「君は?」
「何であんたに教えなきゃならねーんだよ」
少年に問いかけるが、警戒しているのかテラを不機嫌そうに睨みつける。
これにテラが困惑していると、空気を読んだのか無轟が声をかけた。
「ここで話すのもなんだ。場所を移動しよう」
■作者メッセージ
夢さんからバトンを受け取ったNANAです。
もう見た方は分かると思いますが、テラの話はディスティニーアイランドの話が終わり、キーブレード墓場の間の時期です。回廊を移動するヴェンには会っていませんので、エラクゥスとも決別はしておりません。
本来ならばテラ編が終わった後の断章で夢さんにバトンを渡すのですが……テラ編と次のアクア編は前の掲示板でのデータを手直しして投稿しているので、アクア編の断章まで投稿してからバトンを渡したいと思っております。
夢旅人さん。勝手で申し訳御座いませんが、九月中にはバトンを渡すお渡ししますので。
もう見た方は分かると思いますが、テラの話はディスティニーアイランドの話が終わり、キーブレード墓場の間の時期です。回廊を移動するヴェンには会っていませんので、エラクゥスとも決別はしておりません。
本来ならばテラ編が終わった後の断章で夢さんにバトンを渡すのですが……テラ編と次のアクア編は前の掲示板でのデータを手直しして投稿しているので、アクア編の断章まで投稿してからバトンを渡したいと思っております。
夢旅人さん。勝手で申し訳御座いませんが、九月中にはバトンを渡すお渡ししますので。