Fragment4‐2「本気の戦い」
「ジャッジメント―――『ペナルティ・オブ・エレクト』」
ジャスが指を鳴らすと同時に、激しい電撃がシャオへと襲いかかる。
「くっ――!!」
背の双翼を羽ばたかせ、上空へと回避する事で電撃を避ける。
そのまま、ジャスに向かって片足に力を込めて近づいた。
「『ブレイズ・ローカス』!!」
思いっきり足を振り上げると同時に、炎の衝撃波が襲いかかる。
まるで燃え盛る炎の壁に、ジャスは白の槍を握り締める。
直後、思いっきり横に振って炎を両断した。
「僕の“慈悲”の前には―――どんな壁も通用しませんよ」
そう言って、近くにいたシャオに槍を振るう。
シャオは身を捻りながら間一髪で回避し、ジャスの間合いを取る。
「だったら…!!」
そう呟くと同時に、黒の翼を大きく広げた。
「『ウィングノクターン』!!」
黒翼を羽ばたかせ、黒の羽を弾丸のようにして鋭く飛ばす。
その攻撃にジャスは避け、地面へと当たって空振りする。
だが、シャオはしてやったりの表情を浮かべた。
「フッ――!」
シャオが黒翼を羽ばたかせると、地面に刺さった羽が爆発し再び砂埃に包まれた。
「また爆煙ですか? 今度は何を――」
ジャスが呆れていると、シャオのいる場所が光った。
「第二段階、チェンジ―――『ライト・モード』!!」
光が辺りに霧散すると同時に、砂埃が晴れる。
見ると、シャオの服装が白と黒の色に変わっており、白と黒の光の球体が守るようにして周りを回っている。いつの間にかキーブレードを握っているが、先程と違って光り輝いている。
再び姿を変えたシャオを見ていると、頭上にキーブレードを構えた。
「――『ホーリー』!!」
光の柱がシャオの周りに現れると同時に、回転しながらジャスに襲いかかる。
しかし、ジャスは再び横に切り払ってそれを斬り裂いた。
「だから、通用しないと言っているでしょう?」
「まだまだぁ!!」
そんなジャスに、シャオはキーブレードに光を溜めて飛び上がる。
そして、キーブレードの先端をジャスに向けてエネルギーを溜め出した。
「『ラグナロク』!!」
切っ先に溜めた光は螺旋状に飛び散り、ジャスに襲い掛かる。
追尾性もあり強力な攻撃に、シャオは手応えを感じつつ地面に降り立つ。
そうしてジャスを見ると、何故か青銅の槍を持って蹲っていた。
「――かなり強力な攻撃ですね」
そう言って立ち上がるジャスは、無傷だった。
思わず表情を歪めていると、青銅の槍―――『ロンギヌス』を突き出す。
すると、槍の切っ先に自分と全く同じ光のエネルギーが収縮された。
「この力、ソックリお返ししましょうか」
「ちょ!? 待った待った待ったうわあああぁ!!! 『リクレク』ゥゥゥ!!?」
シャオの言葉などお構いなしに、ジャスは光のエネルギー波動を発射される。
この攻撃にとっさに身を守り攻撃を反射する『リクレク』を使う事により、どうにかシャオは難を凌ぐ。
攻撃を防いで魔法の障壁が消える中、シャオは茫然としながらジャスを見た。
「ジャスさんって、こんなに強かったっけ…!?」
「少なくとも、どこぞの悪者ぶっているアホ丸出しの男よりは何倍も強いですよ」
(あれ? ジャスさんって、昔その人とタイマンやって負けたんじゃなかったっけ?)
自称ワルモノと言う何考えているか分からないヘタレでヤラレ役の少年を思い出していると、ジャスの目が眼鏡越しに光った。
「シャオくーん? 半殺しにされたいですかー?」
「しまったっ!? 何時の間にか心読まれてた!?」
恐ろしいほどの満面の笑みを浮かべるジャスに気付き、シャオの顔は真っ青になる。
そんな時、ふいにシャオの頭に何かが過ぎった。
(あれ…? 今、何か変に引っ掛かりが…?)
自分が放ったセリフにおかしい所は無い。
なのに、何か大事な事が隠されている気がしてならない。
その引っ掛かりの正体を突き止めようと意識を集中させる。
「折角です…――ここからは、予定変更で断罪の時間と行こうか」
が、ジャスの言葉に意識は現実に戻った。
見ると、いつの間にかジャスの空気だけでなく口調も変わっている。
戦闘モードへと変わったジャスを見てある師匠の一人を思い出し、戦っているのも忘れて必死で宥めに入った。
「ジャ、ジャスさん落ち付こうよ!? そんな些細な事でそこまで怒るって正義の味方としてどうかと思うよっ!? それだから何時まで経ってもレイさんに舐められっ放し――!!」
「懺悔の時間は済んだか? まずは火葬だ」
「まずはって何なのぉ!? って言うか殺す気満々っ!!? これ試験でしょ!? 死合いって書いた試合じゃないでしょぉぉぉ!!!??」
「答えは聞きません。ジャッジメント―――『ケイジ・オブ・クリミジョン』」
シャオのツッコミに耳を貸さず、即座に手を握る。
『ペナルティ』ではなく『ケイジ』がつく。その意味を瞬時に理解し、シャオはキーブレードを輝かせる。
それとほぼ同時に、灼熱の炎がシャオの周りを囲んで一気に閉じ込めた。
まさに“檻”を表すこの魔法は、誰も助けが入らない1対1なら確実にチェックが決まる。
「――『マジックアワー』!!」
だが、炎に包まれた筈のシャオはジャスの頭上に現れた。
あの場から空間移動しつつ、ジャスに目掛けて光の力の篭ったキーブレードを振り下ろす。
しかし、ジャスは予想していたらしくそのまま横に避けながらシャオに槍を構えた。
「刺殺が好みか? それとも撲殺か?」
「どっちも好みじゃない!!」
振り払うような横薙ぎの攻撃を避けつつ、攻撃を中断してシャオは間合いを取る。
(『ライト・モード』じゃ不利だ…!! 他の第二段階でもきっと状況は変わらない。絶対に使うなって言われてたけど、やるしかない――!!)
その『モード・スタイル』は今のお前には危険すぎるから使うな。
そんな師匠との言い付けを思い出しつつ、再び腕をクロスする。
目を閉じて瞑想しながら、心の奥にある力を湧きあがらせる。
「最終段階―――マスター、つぅ!?」
空気の切る音に気付いて屈むと、何と黒の槍が頭スレスレに飛んできた。
目を開けると、ジャスの武器が『ロンギヌス』から『ゲイボルク』に変わっていた。
「そんな暇、この私が与えない」
「くっ…!!」
中断された事に歯噛みしていると、飛んできた切っ先が縮むようにして黒い槍が元の長さに戻る。
そのまま一歩踏み出すと、素早い突きをこれでもかと放って来た。
ジャスの槍術の一つである『ショットシェル』を紙一重で避けていると、ある事を思い出す。
(そうだ…!! 確か、ロクサスさんに教えて貰ったあの技を使えば…!!)
父さんや母さんと共に家に遊びに来た時、修行していて一つの技を教えて貰った。
その事を思い出しつつ、ジャスの突きに意識を向ける。
再び突きを出したコンマを狙い、一気に踏み込み後ろに回りこんだ。
「隙あり――うぷっ!?」
背後を取った瞬間、シャオの顔に何かが当たった。
それは痛みではなく、サラサラとしてくすぐったい不思議な感触。
戦闘中に感じるには似つかない代物に、シャオの思考が混乱した。
「殺傷でも良かったか?」
「―――っ!?」
しかし、ジャスの言葉に現実に返る。
どうにかその状態で身を屈むと同時に、今度は頭スレスレに白い槍が横切った。
とここで、背後に回りこんだ際に自分にぶつかった“何か”に気付いた。
「長い髪を使うなんて、凄い戦法だね…!!」
そう。シャオの顔に当たったのは、ジャスの長い銀髪だ。
髪を使って目隠しを行ないつつ、思考さえも一瞬混乱させる方法に思わず冷や汗を掻く。
そんなシャオに、ジャスは口元を上げた。
「お褒めの言葉、受け取ってはおこう。次は感電死と行こうか」
「いい加減、処刑方法から離れてよぉ!!!」
未だに冷めた目で指を鳴らす動作をするジャスに、シャオは心から叫ぶ。
その間にも、ジャスは指を鳴らして電撃を飛ばしてくる。
それを『リクレク』で防御しつつ、この状況を打破しようとジャスを見る。
(どうしよう…止めようにも、怒っている分下手に手がつけられない…――だからと言って、師匠達を頼りにも出来ないし…!! ううっ…前にやったリズ達との特訓がすっごくマシに思え――)
「何を考えている? ジャッジメント―――『エアブレード』」
「のわぁ!?」
『リフレク』の障壁が消えたのを合図に、次にジャスは空気の刃を飛ばす。
シャオは横に転がって回避すると、キーブレードを光らせる。
(こうなったら…!!)
少し前に知り合った異世界の友達を思い出しながら、『ジャッジメント』を出し終えたジャスに向かってキーブレードを振るった。
「『ライトレイズソード』!!」
キーブレードから大剣の形をした光の衝撃波が飛ばされる。
迫り来る攻撃に、ジャスは落ち着いて槍を構える。
直後、少し離れた場所にいたシャオ諸共光の大剣を切り裂いた。
貫通力に優れている『グングニル』で行なった『ストライクショット』に、ジャスは吹き飛ばしたシャオを見ながら眼鏡をかけなおした。
「――大技を使うには、それ相当の隙が出る。貴様の師匠に習わなかったか?」
「げほっ、ごほっ…!」
あまりの強さに、シャオは地面に倒れながら咳き込む。
(考えなきゃ…!! このままじゃ、何も変わらない…!!)
ジャスのあまりの強さを再認識しつつ、倒れながらも頭を動かす。
その時、槍を持っていないジャスの左手に首元を掴まれて上へと持ち上げられた。
「ぐうっ…!!」
「諦めろ。今のお前は私に勝つ所か、傷さえもつけられない」
「か、はっ…!!」
首元を掴む力が強まり、段々と呼吸が出来なくなる。
必死で空気を取り込もうと口を開けるシャオに、ジャスは更に冷ややかな視線を送る。
「そんな事では、お前の師はもちろん、彼ら…いや、父さえも越える事など出来ない」
苦しむシャオにそう言うと、白の槍の切っ先を向けた
「それを…身に染みて味わうのだな」
その言葉を送り、掴んでいるシャオ目掛けて一気に槍を突き刺す。
一秒も無い瞬間に、胴体を貫く感触が槍を通して自分の手に馴染む…筈だった。
「『―――』…っ!!」
ジャスが指を鳴らすと同時に、激しい電撃がシャオへと襲いかかる。
「くっ――!!」
背の双翼を羽ばたかせ、上空へと回避する事で電撃を避ける。
そのまま、ジャスに向かって片足に力を込めて近づいた。
「『ブレイズ・ローカス』!!」
思いっきり足を振り上げると同時に、炎の衝撃波が襲いかかる。
まるで燃え盛る炎の壁に、ジャスは白の槍を握り締める。
直後、思いっきり横に振って炎を両断した。
「僕の“慈悲”の前には―――どんな壁も通用しませんよ」
そう言って、近くにいたシャオに槍を振るう。
シャオは身を捻りながら間一髪で回避し、ジャスの間合いを取る。
「だったら…!!」
そう呟くと同時に、黒の翼を大きく広げた。
「『ウィングノクターン』!!」
黒翼を羽ばたかせ、黒の羽を弾丸のようにして鋭く飛ばす。
その攻撃にジャスは避け、地面へと当たって空振りする。
だが、シャオはしてやったりの表情を浮かべた。
「フッ――!」
シャオが黒翼を羽ばたかせると、地面に刺さった羽が爆発し再び砂埃に包まれた。
「また爆煙ですか? 今度は何を――」
ジャスが呆れていると、シャオのいる場所が光った。
「第二段階、チェンジ―――『ライト・モード』!!」
光が辺りに霧散すると同時に、砂埃が晴れる。
見ると、シャオの服装が白と黒の色に変わっており、白と黒の光の球体が守るようにして周りを回っている。いつの間にかキーブレードを握っているが、先程と違って光り輝いている。
再び姿を変えたシャオを見ていると、頭上にキーブレードを構えた。
「――『ホーリー』!!」
光の柱がシャオの周りに現れると同時に、回転しながらジャスに襲いかかる。
しかし、ジャスは再び横に切り払ってそれを斬り裂いた。
「だから、通用しないと言っているでしょう?」
「まだまだぁ!!」
そんなジャスに、シャオはキーブレードに光を溜めて飛び上がる。
そして、キーブレードの先端をジャスに向けてエネルギーを溜め出した。
「『ラグナロク』!!」
切っ先に溜めた光は螺旋状に飛び散り、ジャスに襲い掛かる。
追尾性もあり強力な攻撃に、シャオは手応えを感じつつ地面に降り立つ。
そうしてジャスを見ると、何故か青銅の槍を持って蹲っていた。
「――かなり強力な攻撃ですね」
そう言って立ち上がるジャスは、無傷だった。
思わず表情を歪めていると、青銅の槍―――『ロンギヌス』を突き出す。
すると、槍の切っ先に自分と全く同じ光のエネルギーが収縮された。
「この力、ソックリお返ししましょうか」
「ちょ!? 待った待った待ったうわあああぁ!!! 『リクレク』ゥゥゥ!!?」
シャオの言葉などお構いなしに、ジャスは光のエネルギー波動を発射される。
この攻撃にとっさに身を守り攻撃を反射する『リクレク』を使う事により、どうにかシャオは難を凌ぐ。
攻撃を防いで魔法の障壁が消える中、シャオは茫然としながらジャスを見た。
「ジャスさんって、こんなに強かったっけ…!?」
「少なくとも、どこぞの悪者ぶっているアホ丸出しの男よりは何倍も強いですよ」
(あれ? ジャスさんって、昔その人とタイマンやって負けたんじゃなかったっけ?)
自称ワルモノと言う何考えているか分からないヘタレでヤラレ役の少年を思い出していると、ジャスの目が眼鏡越しに光った。
「シャオくーん? 半殺しにされたいですかー?」
「しまったっ!? 何時の間にか心読まれてた!?」
恐ろしいほどの満面の笑みを浮かべるジャスに気付き、シャオの顔は真っ青になる。
そんな時、ふいにシャオの頭に何かが過ぎった。
(あれ…? 今、何か変に引っ掛かりが…?)
自分が放ったセリフにおかしい所は無い。
なのに、何か大事な事が隠されている気がしてならない。
その引っ掛かりの正体を突き止めようと意識を集中させる。
「折角です…――ここからは、予定変更で断罪の時間と行こうか」
が、ジャスの言葉に意識は現実に戻った。
見ると、いつの間にかジャスの空気だけでなく口調も変わっている。
戦闘モードへと変わったジャスを見てある師匠の一人を思い出し、戦っているのも忘れて必死で宥めに入った。
「ジャ、ジャスさん落ち付こうよ!? そんな些細な事でそこまで怒るって正義の味方としてどうかと思うよっ!? それだから何時まで経ってもレイさんに舐められっ放し――!!」
「懺悔の時間は済んだか? まずは火葬だ」
「まずはって何なのぉ!? って言うか殺す気満々っ!!? これ試験でしょ!? 死合いって書いた試合じゃないでしょぉぉぉ!!!??」
「答えは聞きません。ジャッジメント―――『ケイジ・オブ・クリミジョン』」
シャオのツッコミに耳を貸さず、即座に手を握る。
『ペナルティ』ではなく『ケイジ』がつく。その意味を瞬時に理解し、シャオはキーブレードを輝かせる。
それとほぼ同時に、灼熱の炎がシャオの周りを囲んで一気に閉じ込めた。
まさに“檻”を表すこの魔法は、誰も助けが入らない1対1なら確実にチェックが決まる。
「――『マジックアワー』!!」
だが、炎に包まれた筈のシャオはジャスの頭上に現れた。
あの場から空間移動しつつ、ジャスに目掛けて光の力の篭ったキーブレードを振り下ろす。
しかし、ジャスは予想していたらしくそのまま横に避けながらシャオに槍を構えた。
「刺殺が好みか? それとも撲殺か?」
「どっちも好みじゃない!!」
振り払うような横薙ぎの攻撃を避けつつ、攻撃を中断してシャオは間合いを取る。
(『ライト・モード』じゃ不利だ…!! 他の第二段階でもきっと状況は変わらない。絶対に使うなって言われてたけど、やるしかない――!!)
その『モード・スタイル』は今のお前には危険すぎるから使うな。
そんな師匠との言い付けを思い出しつつ、再び腕をクロスする。
目を閉じて瞑想しながら、心の奥にある力を湧きあがらせる。
「最終段階―――マスター、つぅ!?」
空気の切る音に気付いて屈むと、何と黒の槍が頭スレスレに飛んできた。
目を開けると、ジャスの武器が『ロンギヌス』から『ゲイボルク』に変わっていた。
「そんな暇、この私が与えない」
「くっ…!!」
中断された事に歯噛みしていると、飛んできた切っ先が縮むようにして黒い槍が元の長さに戻る。
そのまま一歩踏み出すと、素早い突きをこれでもかと放って来た。
ジャスの槍術の一つである『ショットシェル』を紙一重で避けていると、ある事を思い出す。
(そうだ…!! 確か、ロクサスさんに教えて貰ったあの技を使えば…!!)
父さんや母さんと共に家に遊びに来た時、修行していて一つの技を教えて貰った。
その事を思い出しつつ、ジャスの突きに意識を向ける。
再び突きを出したコンマを狙い、一気に踏み込み後ろに回りこんだ。
「隙あり――うぷっ!?」
背後を取った瞬間、シャオの顔に何かが当たった。
それは痛みではなく、サラサラとしてくすぐったい不思議な感触。
戦闘中に感じるには似つかない代物に、シャオの思考が混乱した。
「殺傷でも良かったか?」
「―――っ!?」
しかし、ジャスの言葉に現実に返る。
どうにかその状態で身を屈むと同時に、今度は頭スレスレに白い槍が横切った。
とここで、背後に回りこんだ際に自分にぶつかった“何か”に気付いた。
「長い髪を使うなんて、凄い戦法だね…!!」
そう。シャオの顔に当たったのは、ジャスの長い銀髪だ。
髪を使って目隠しを行ないつつ、思考さえも一瞬混乱させる方法に思わず冷や汗を掻く。
そんなシャオに、ジャスは口元を上げた。
「お褒めの言葉、受け取ってはおこう。次は感電死と行こうか」
「いい加減、処刑方法から離れてよぉ!!!」
未だに冷めた目で指を鳴らす動作をするジャスに、シャオは心から叫ぶ。
その間にも、ジャスは指を鳴らして電撃を飛ばしてくる。
それを『リクレク』で防御しつつ、この状況を打破しようとジャスを見る。
(どうしよう…止めようにも、怒っている分下手に手がつけられない…――だからと言って、師匠達を頼りにも出来ないし…!! ううっ…前にやったリズ達との特訓がすっごくマシに思え――)
「何を考えている? ジャッジメント―――『エアブレード』」
「のわぁ!?」
『リフレク』の障壁が消えたのを合図に、次にジャスは空気の刃を飛ばす。
シャオは横に転がって回避すると、キーブレードを光らせる。
(こうなったら…!!)
少し前に知り合った異世界の友達を思い出しながら、『ジャッジメント』を出し終えたジャスに向かってキーブレードを振るった。
「『ライトレイズソード』!!」
キーブレードから大剣の形をした光の衝撃波が飛ばされる。
迫り来る攻撃に、ジャスは落ち着いて槍を構える。
直後、少し離れた場所にいたシャオ諸共光の大剣を切り裂いた。
貫通力に優れている『グングニル』で行なった『ストライクショット』に、ジャスは吹き飛ばしたシャオを見ながら眼鏡をかけなおした。
「――大技を使うには、それ相当の隙が出る。貴様の師匠に習わなかったか?」
「げほっ、ごほっ…!」
あまりの強さに、シャオは地面に倒れながら咳き込む。
(考えなきゃ…!! このままじゃ、何も変わらない…!!)
ジャスのあまりの強さを再認識しつつ、倒れながらも頭を動かす。
その時、槍を持っていないジャスの左手に首元を掴まれて上へと持ち上げられた。
「ぐうっ…!!」
「諦めろ。今のお前は私に勝つ所か、傷さえもつけられない」
「か、はっ…!!」
首元を掴む力が強まり、段々と呼吸が出来なくなる。
必死で空気を取り込もうと口を開けるシャオに、ジャスは更に冷ややかな視線を送る。
「そんな事では、お前の師はもちろん、彼ら…いや、父さえも越える事など出来ない」
苦しむシャオにそう言うと、白の槍の切っ先を向けた
「それを…身に染みて味わうのだな」
その言葉を送り、掴んでいるシャオ目掛けて一気に槍を突き刺す。
一秒も無い瞬間に、胴体を貫く感触が槍を通して自分の手に馴染む…筈だった。
「『―――』…っ!!」