Another chapter5 Aqua side‐4
その後、アクアが『ケアル』をかけて応急処置を終えると、四人は一旦家へと戻った。
つい先程までアクアが眠っていたベットにウィドを腰掛けさせると、より強い魔法の『ケアルガ』をかけた。
「――どうですか?」
「ええ…大分、良くなりました」
そう言って、ウィドはアクアに笑い掛ける。
大きな怪我をしていないおかげで、すぐに回復出来たようだ。どうやら、ある程度手加減をしてくれたらしい。
アクアが安堵の息を吐いていると、ゼロボロスが声を掛けた。
「じゃあ、僕達はそろそろ行こうか……あの料理で死にたくないしね…」
最後に聞こえた小さな呟きに、アクアも顔を強張らせる。
この部屋に来た時に見たテーブルに並んでいた料理らしき物体に、一目で命の危険を感じたが……それは、ゼロボロスも一緒だったようだ。
戦いになった事に嫌でも心から感謝しつつ、アクアは口元を引くつかせながら頷いた。
「そ、そうね…!! では、私達はこれで――」
「待ってください」
ウィドの言葉に、二人の肩がびくつく。
まさか、お礼に料理を召し上がってとか言わないだろうか? いや、義理堅い彼なら言いそうだ。
二人は恐る恐る振り返りつつ、どうやってこの場を切り抜けるか必死で頭を働かせる。
そうしていると、何とウィドは二人に向かって頭を下げた。
「――お願いします…私も連れて行って貰えないでしょうか?」
「「「え?」」」
これには二人だけでなく、ルキルも目を見開く。
すると、ウィドは顔を俯かせながら拳を強く握った。
「あの男…――セヴィルに、もう一度会いたいんです…!!」
「もしかして…お姉さんについて?」
ゼロボロスが聞くと、ウィドは一つ頷いた。
「姉は、私が幼い頃に行方不明にあったんです。姉が…――姉さんが他の世界で生きているのならば、探して見つけたい」
このウィドの決心に、アクアは残念そうに顔を俯かせた。
「……申し訳ありませんが、どんな事情であれ住人を外の世界に連れて行く訳にはいかないんです。干渉する事で、秩序が乱れてしまいますから」
「それでもっ!! それでも私は姉さんを探したいんです!! 大事な家族ですから!!」
「ですが…」
「アクア、別に連れて行ってもいいんじゃない?」
アクアが断ろうとした時、ゼロボロスがそんな発言をする。
思わずアクアが言葉を切ると、目を丸くしてゼロボロスを見た。
「ゼロボロス!?」
「よく考えてみたら、最初に狙われていたのはウィドだったよね? それなら、連れて行っても問題ないと思うけど」
「確かに、そうだけど…」
あまり納得しない表情を作りつつ、アクアはもう一度ウィドを見る。
彼は真剣な目をしてアクアをじっと見つめている。
この眼差しにアクアは折れたのか、大きく溜め息を吐いた。
「…分かりました。ですが、絶対に私達が外の世界から来た事を内密にしてください」
「ありがとうございますっ!!」
ウィドが嬉しそうに頭を下げると、今まで黙っていたルキルが口を開いた。
「だったら、俺も行く!! 俺は元々別の世界で生まれたから、ある程度は――!!」
「ルキル、あなたは残りなさい」
そんなルキルに、ウィドは無情にもそう言い留める。
この言葉に、ルキルは反発の目でウィドを睨み付けた。
「どうしてっ!?」
「狙われているのは、私なんです。ここで、あなたを危険に晒す訳にはいかないんです」
「だけど――!!」
それでもルキルが反論しようとしていると、思わぬ助け舟が入った。
「待ってください」
突然割って入ったアクアの声に、二人は思わず言葉を止める。
アクアはそのままルキルに近付くと、目を合わせるようにしゃがみこんた。
「あなたは、守りたいのよね?」
その言葉に、ルキルは息を呑んで目を見開く。
ウィドが首を傾げてルキルを見ていると、アクアは笑いながら振り向いた。
「この人を…――あなたの大事な人を。だから、強くなろうとしていたのよね?」
「そ、それは…」
呟くように口篭もると、横目でウィドを見る。
ウィドは何も言えずにこちらを見ているので、ルキルは顔を赤くして顔を逸らす。
この行動で図星だと分かり、アクアはクスリと笑って立ち上がった。
「私からもお願いします。彼も一緒に連れて行ってくれませんか?」
まだ出会って少ししか経っていないが、分かる。
彼も、この子も。守りたいと言う思いは一緒なのだ。
それならば、少々危険な旅でも一緒に行かせたい。離れ離れになれば、この思いは自分達のように不安に変わるから。
アクアの頼みに、今度はウィドは溜め息を吐くとルキルを見つめて言った。
「…ルキル、無茶はしないと約束出来ますか?」
「ああ、約束する」
念を押すように言うウィドに、ルキルは真剣な目で答える。
こうして二人の同行が決まると、アクアは思い出したように声を出した。
「そう言えば、自己紹介がまだでしたね……私はアクアと言います。彼は、ゼロボロス」
「よろしくね。ウィド、ルキル」
「ええ、よろしくお願いします」
ゼロボロスが挨拶すると、ウィドも軽く頭を下げる。
こうして、未来でのアクアの旅は始まりを告げた…。
■作者メッセージ
ようやく第五章終了です。
予定よりも日にちが余りましたので、この後の断章だけでなく特別編も投稿しようと思います。それでも今週中には交代は出来ますので。
それでは、最後にキャラ紹介。そしていつものギャグ話をご覧ください。
ウィド (オリキャラ)
腰まである長い銀髪を一つに結び、青の目をした23歳の青年。
性格は基本温厚。だが、考古学関連を目にしたり耳に入れたりすれば性格が180度変わる。
その為、知識は豊富にあるのだが料理に関しては違った方向に発揮され、彼が食卓に立てば阿鼻叫喚になる図が出来上がるほど。
8年前に彼の住んでいた世界が闇に呑まれ、運良く別の世界に流れ着く。その世界の教会で身寄りの無い他の子供達と過す事になり、そこである程度の剣術を習った。
1年前に、ソラ達が『キングダムハーツ』を閉じた事で元の世界に戻れたが、とある理由でたまたま見つけたルキルと共に雪山の奥で過す事に。
そんな中雪山で倒れているアクア達を助けた事により、10年以上も前に行方不明になった姉を探す為にセヴィルを追う決意をする。
武器は銀のレイピアである【シルビア】。風を連想させるような素早い剣術を扱う。
ルキル (主な出演作品 KH COM)
肩まである目の部分さえも隠す長い銀髪に水色の瞳をした、リクと瓜二つの少年。
その正体は『忘却の城』でヴィクセンによって作られたリクのレプリカで、リクによって消滅された…筈だった。
だが、実際は別の世界に飛ばされており、たまたまウィドと出会い共に暮らす事に。
そんな時にアクア達と出会い、ウィドと共に旅立つ決意をする。
武器は【ソウルイーター】。リクと同じように闇の攻撃や魔法を使うが、他者との連携ではまた違った攻撃方法をする事も。
NGシーン フェン戦後
セヴィル「お前…まさか、あの人の――」
この言葉に、ウィドが身構える。
セヴィル「――妹なのか?」(真顔で)
四人「「「「ハイ?」」」」(目を丸くする)
セヴィル「その顔といい、髪質といい、本当に姉とそっくりだ。弟と聞いていたが、身体つきも細いしどう見ても女せごがぁ!!?」(分厚い本が顔面に飛ぶ)
ウィド「誰が女ですかぁ…!? 私はれっきとした男性だぁぁぁぁ!!!!!」
ルキル「ちょ!? 先生落ち着いてくれぇ!!」(ウィドを押える)
ゼロボロス「そうですよ!! 相手はキーブレードマスターなんですから、引き立てて置かないと!?」(同じくウィドを押える)
ウィド「放せ、二人ともぉ!!! 男なのに女やら女性やらって間違えられる私の気持ちが分かるかぁぁぁ!!!」
フェン「つーかさぁ。童顔だし、髪は長いし、そんなぶかぶかな服着て身体隠してたら誰だって勘違いするだろ? って言うか、実際女だったりしてなぐあっはぁ!!?」(巨大な衝撃波が飛んできた)
ウィド「雑魚キャラは黙ってろぉ!!! いいですよ、そこまで言うなら証明してやりますよっ!!!」(腰のベルトに手をかける)
ルキル「先生!? 何をする気だ!!?」
ゼロボロス「ウィドさん!? さすがにそれはマズイですって!!!」
ウィド「うるさい!! いつも上半身だけ見せて証明しようとしても、筋肉がついていないから余計に間違えられて…どれだけ勘違いした男性から告白されたか…っ!!!」(思い出して泣いている)
ルキル&ゼロボロス「「………すまない(すみません)……」」
フェン「お前ら、誰が雑魚キャラだぁぁぁ!!! さっきから無視してんじゃねえぇぇぇ!!!」
アクア「…どうしましょうか、これ?」
セヴィル「さあな…」
予定よりも日にちが余りましたので、この後の断章だけでなく特別編も投稿しようと思います。それでも今週中には交代は出来ますので。
それでは、最後にキャラ紹介。そしていつものギャグ話をご覧ください。
ウィド (オリキャラ)
腰まである長い銀髪を一つに結び、青の目をした23歳の青年。
性格は基本温厚。だが、考古学関連を目にしたり耳に入れたりすれば性格が180度変わる。
その為、知識は豊富にあるのだが料理に関しては違った方向に発揮され、彼が食卓に立てば阿鼻叫喚になる図が出来上がるほど。
8年前に彼の住んでいた世界が闇に呑まれ、運良く別の世界に流れ着く。その世界の教会で身寄りの無い他の子供達と過す事になり、そこである程度の剣術を習った。
1年前に、ソラ達が『キングダムハーツ』を閉じた事で元の世界に戻れたが、とある理由でたまたま見つけたルキルと共に雪山の奥で過す事に。
そんな中雪山で倒れているアクア達を助けた事により、10年以上も前に行方不明になった姉を探す為にセヴィルを追う決意をする。
武器は銀のレイピアである【シルビア】。風を連想させるような素早い剣術を扱う。
ルキル (主な出演作品 KH COM)
肩まである目の部分さえも隠す長い銀髪に水色の瞳をした、リクと瓜二つの少年。
その正体は『忘却の城』でヴィクセンによって作られたリクのレプリカで、リクによって消滅された…筈だった。
だが、実際は別の世界に飛ばされており、たまたまウィドと出会い共に暮らす事に。
そんな時にアクア達と出会い、ウィドと共に旅立つ決意をする。
武器は【ソウルイーター】。リクと同じように闇の攻撃や魔法を使うが、他者との連携ではまた違った攻撃方法をする事も。
NGシーン フェン戦後
セヴィル「お前…まさか、あの人の――」
この言葉に、ウィドが身構える。
セヴィル「――妹なのか?」(真顔で)
四人「「「「ハイ?」」」」(目を丸くする)
セヴィル「その顔といい、髪質といい、本当に姉とそっくりだ。弟と聞いていたが、身体つきも細いしどう見ても女せごがぁ!!?」(分厚い本が顔面に飛ぶ)
ウィド「誰が女ですかぁ…!? 私はれっきとした男性だぁぁぁぁ!!!!!」
ルキル「ちょ!? 先生落ち着いてくれぇ!!」(ウィドを押える)
ゼロボロス「そうですよ!! 相手はキーブレードマスターなんですから、引き立てて置かないと!?」(同じくウィドを押える)
ウィド「放せ、二人ともぉ!!! 男なのに女やら女性やらって間違えられる私の気持ちが分かるかぁぁぁ!!!」
フェン「つーかさぁ。童顔だし、髪は長いし、そんなぶかぶかな服着て身体隠してたら誰だって勘違いするだろ? って言うか、実際女だったりしてなぐあっはぁ!!?」(巨大な衝撃波が飛んできた)
ウィド「雑魚キャラは黙ってろぉ!!! いいですよ、そこまで言うなら証明してやりますよっ!!!」(腰のベルトに手をかける)
ルキル「先生!? 何をする気だ!!?」
ゼロボロス「ウィドさん!? さすがにそれはマズイですって!!!」
ウィド「うるさい!! いつも上半身だけ見せて証明しようとしても、筋肉がついていないから余計に間違えられて…どれだけ勘違いした男性から告白されたか…っ!!!」(思い出して泣いている)
ルキル&ゼロボロス「「………すまない(すみません)……」」
フェン「お前ら、誰が雑魚キャラだぁぁぁ!!! さっきから無視してんじゃねえぇぇぇ!!!」
アクア「…どうしましょうか、これ?」
セヴィル「さあな…」