Another chapter6 Sora&Aqua side‐6
「くそっ…!? どうなっている、さっきと比べ物にならないぞ…!!」
ぶつかった柱に手をつけ、よろよろと立ち上がりながらリクは目の前にいるレプリカを睨む。
先程とは違う、強大な闇の強さ。そして、焦点の定まっていないあの目。
もしかしたら、今のニセモノは…。
「リクー!!」
「ソラ!?」
「ソ、ラ…」
観客席から飛び降りて駆け付けたソラに驚いていると、レプリカも振り返る。
ソラを見て、レプリカの瞳に何らかの黒い感情を宿らせるのが分かり、リクは即座に動いた。
「チィ…!!」
ソラの所に行かせまいと、レプリカに斬りかかる。
それをレプリカは剣で防御し、二人の鍔迫り合いが始まった。
「リク!?」
「来るな!! こいつは俺がやる!!」
「一人でカッコつけるなよ!? 俺達も――!!」
ヴェンがキーブレードをレプリカに構える。
「『アクアレーザー』」
「「うわぁ!?」」
突然ソラとヴェンに向かって斜め上から水流のレーザーが放たれた。
慌てて避ける二人に、オパールは一歩後ずさりした。
「な、なにっ!?」
「あら? また人間が増えたの? 本当に目触りね…」
何処か聞き覚えのある女性の声に、ソラとヴェンが振り返る。
コロシアムにある柱の天辺で、リリスが青い槍を持って立っていた。
「お前、あの時の!?」
再び現れた敵に、ソラはリリスに向かってキーブレードを構える。
「きゃあ!?」
その時、更に女性の悲鳴が聞こえた。
それと同時に、闘技場に誰かが吹き飛ばされて倒れこむ。
突然現れた女性に、ヴェンが息を飲んだ。
「アクアっ!? アクアも来てたの!?」
思わぬ人物にヴェンが駆け寄っていると、誰かがアクアの前に着地した。
「テラ!?」
レイディアントガーデンで別れた筈のテラに、ヴェンの足が止まる。
それを見計らうように、テラはヴェンにキーブレードを振るって攻撃を始める。
ヴェンは動揺しつつも攻撃を避けるが、信じられない表情を浮かべていた
「嘘だろ!? どうなってんだよ!?」
「テラ、何してるんだよ!? クウ達はどうしたんだ!?」
ソラが声を張り上げる中、ヴェンは必死に攻撃するテラに声をかける。
しかし、テラは何も言わずキーブレードを地面に叩きつける。
「ヴェン、危ない!!」
「うわぁ!?」
とっさにアクアが駆けつけ、ヴェンを抱くように横に倒れこむ。
同時に、ヴェンがいた足元に大きな岩が突き出した。
あと少しアクアが助けなかったら危なかった光景に、ソラとオパールはゴクリと唾を呑み込んだ。
「よそ見してる暇は無いぞ!! 『タイドウェーブ』!!」
「くっ…!?」
「きゃ…!?」
近くにいたリリスが槍を地面に刺すと、周りから水流が激しく沸き立って二人は巻き込まれてしまう。
「止めてよ、テラ!! なんでこんな事するんだ!?」
ヴェンはアクアと共に起き上り、尚もテラに声をかける。
だが、テラは攻撃の手を止める事をしないのでヴェンは苦悩の表情でテラのキーブレードを受け止める。
互いにキーブレードで戦う二人の姿に、アクアは座り込んだまま動けない。
「あああああああああっ!!!」
「ぐぅ…!!」
そんな二つの戦いから離れた場所でリクはレプリカと戦うが、リクが押されてきている。
このコロシアムの戦いを、物陰に隠れながらクォーツが見ていた。
「――まさか、ここまで上手くいくとは」
リリス、レプリカ、そしてテラを使った作戦。
相手側が確実に押されているこの状況は、まさに好機としか言いようがないだろう。
「“アレ”を持っている物は来てはいないが…この調子で彼らを追い詰めて『鍵』を――」
「――『双月斬脚・零』っ!!」
その時、激しい破壊音が辺りに響き、すぐさまクォーツは目を向ける。
そこには、ヴェンの前にゼロボロスが立っていた。彼の目の先には、壁に激突したテラがいる。
「ゼロボロスっ!?」
思わぬ助けにアクアが驚いていると、ゼロボロスは立ち上がるテラに拳を構える。
これを見て、ヴェンはすぐに肩を掴んだ。
「止めてくれ!! テラは敵じゃない!!」
「騙されないで!! これは…偽物だ!! 『迫撃零掌』!!」
ヴェンを振り払い、ゼロボロスは魔力を込めた拳をテラに叩きこむ。
すると、爆発する音と共にテラが大きな黒い丸鏡に変化する。
次の瞬間、拳を叩きこんだ箇所から全体に罅が入り、鏡が砕け散って消滅した。
「消えた…!?」
これにヴェンとアクアが絶句していると、ゼロボロスは誰もいない観客席に目を向けた。
「――もう出てきたらどうですか? 隠れているのは分かっていますよ」
その言葉に二人が首を傾げるが、ゼロボロスは気にすることなく顔を向け続ける。
すると、闇が現れてそこから黒いマントを来た一人の男―――クォーツが現れた。
「まさか、私の術を見破るとは…」
「これでも僕は長生きしてますのでね、ある程度の術は見破れるんですよ」
何処か悔しそうなクォーツに対し、ゼロボロスは含み笑いを浮かべる。
この二人をヴェンとアクアが見ていると、激しい爆発音が鳴り響く。
見ると、一瞬の隙を付いてリクが『ダークファイガ』を喰らわせていた。
「うぁ…!!」
「これで――!!」
リクがキーブレードを振り下ろすのを見て、レプリカも負けじと剣を振るう。
二人の武器がぶつかりあう―――直前、誰かが中央に割り込んだ。