KH 3-01
「……ほう」
セキに【人の心のキーブレード】を突き刺して、幾拍か。無貌の王は感嘆をあげた。
奥歯まで見えるほど口端を歪める。笑っている――――というより、激情を噛み殺している。そういう表情だ。
「実に不愉快だよ。……いや、そこは素直にお前のその精神性に脱帽するべきか。まったく…………実に不愉快だ」
吐き捨てて、より一層キーブレードを深々と突き立てた。キーブレードが沈んでいく。セキの体にキーブレードが埋まっていく。
やがて無貌の王はキーブレードから手を離す。川に流れるように、氷柱が融けるように、泥の沼に沈むように、キーブレードは落ちていく。セキ・グレンというハートレスの心奥に。
「誅罰だ。
…………先ほどまで友だ仲間だと行動を共にしていた連中に無残に切り崩されるがいい」
そして、ゆっくりと立ち上がった。
セキ・グレンだったそれは胸に大穴を開けていた。穴からは赤々と炎が漏れ出ている。炎は手足にまとわりつく。
あたかもそれは新たな手足のように。炎は両足に代わって地を踏みしめ、両手に代わって空を掻く。双眸に代わって大きな一つ目を煌めかせる。
咆哮が空を焦がす。白い壁を、床を、天井を黒く焦がして染め上げていく。
その様は――――野獣と何も変わらない。
ソラが何度も何度も何度も何度も相手にして、ことごとく斬り裂いてきた名前《心》のない怪物達とと。
「……セキ……?」
ソラの声に、炎の魔人は一瞬、動きを止めた。
剛腕がソラの胸を殴り飛ばす。
構えを崩していたソラは大きく吹き飛んだ。目が熱と光で白黒している。
叩きつけられた壁に手をつき、正面の炎の魔人に目を向けた。/セキ・グレンは死んだ。
キーブレードを構える。炎の魔人は汚らしく咆哮と炎を撒き散らしている。/目の前にいるのはハートレスだ。敵だ。友だちじゃない。知っている誰かじゃない。
炎の魔人が床を蹴った。ソラに向かって突進する。/倒せ。倒せ。倒せ。それがキーブレードの勇者の使命じゃないのか。
「……なんでだよ」
飛びかかってきた炎の魔人の剛腕をすり抜けて、ソラはキーブレードを握りしめた。
炎の魔人の真下をくぐり抜ける。無防備な背中をキーブレードの射程に収めた。魔人は気づいていない。
「なんでっ……こんなことになっちゃうんだよ!おまえ!」
感情を込めて、一閃を見舞った。炎が大きく歪み、炎の魔人は壁に激突した。
倒れる炎の魔人に思いっきり文句を吐きつけた。
おまえはヒスイを助けたかったんじゃないのか? あれは嘘だったのか? 震えるほど怖かったのを我慢して戦っていたのに?
おまえはこんなので満足なのか?
あの時の俺と同じように、おまえの中に大切な人はいるんだろう?
――――だったら!守ってみせろ!救い出してみせろよ!
「……俺はッ!さっきまでのおまえを嘘だなんて思わない!
俺とおまえと……ヒスイのつながりは、絶対嘘なんかじゃなかった!
セキ!絶対目を覚まさせてやるからな!さっさと起きろよ!」
ソ
ラが言葉を発している間、炎の魔人は背を向けたままだった。セキ・グレンの数倍はある炎の四肢は既に壁の中から体を助け起こし、十全な状態で立ち上がっていたにもかかわらず。
先ほどまでの獣性が嘘のように、動かない。
――――不意に、炎の魔人の右腕がしなった。
振り向きざまに右腕が伸びた。ムチのようなしなやかさで風を引き裂き、ソラに迫り。
炎のムチと衝撃は、床を剥ぎ取った。しかしバラバラと降りしきる瓦礫の雨あられはソラには当たらない。虹色の球体がそれを阻んだ。
「……なんていうかさ」
セキ・グレンと共にビビに乗ってやってきた栗毛の少年がソラの前に立ち、それを防いだのだ。その右手に握られているのは――――ソラと同じ、キーブレード。
「さすが、っていうのかな。こういうとき。さすがは――――俺と同じ、これに選ばれているだけ、あるもんだ」
「同じ……おまえも……?」
「不思議だな。なんでかわからないけれど、どうにもおまえは他人って気がしない。
……ああ、なるほどな。もしかしたら、あの人が俺のことをヴェンって呼んだのはそういうことなのかもしれないな」
「え……?」
「誰にでもつながりはある。そういうことだよ。……俺にも。あいつにだって」
虹色のバリアを周囲の熱気と一緒に払い、栗毛の少年はキーブレードを低く構えた。
――――キーブレードの構え方まで同じだ。確かに他人という気がしない。
「……俺とおまえ、ちょっとの間の協力ってことだったけどさ……いいのか? おまえがこのままじゃ、俺は好きにやらせてもらうからな。『予定通り』にだ。その意味、わかるか?」
今度は栗毛の少年の言葉を炎の魔人は静かに聴いていた。少年は続ける。キーブレードを払い、魔人から伝わる熱気を斬り裂いて、声高く宣言した。
「俺もだ。おまえと同じなんだよ。自分が誰かもわからない。名前だってつい最近の貰い物だ。……心を、記憶を呼び覚ます。今日はそのための手がかり探しだった。そういう任務だったんだよ。
なぁ、おまえは心も記憶も奪われて、その炎の殻に閉じこもったままか?
――――俺はいやだ。俺の心。俺の記憶……俺の意味。全部俺のだ。俺のものなんだよ。それを眠らせておいたままになんか、しておけないんだ。
――――人は! 眠ったままじゃいけないんだよ。目覚めるべきなんだ。俺も、おまえも、ヒスイだって。
……だからさ。もし、おまえがこのままなら、目覚めないのなら、その時は――――俺がおまえを消してやる」
「……耳が痛いわね」
ふたりの勇者が炎の魔人と相対する。その様をアクアは遠巻きに見ていた。
彼女の前には無貌の王がいる。キーブレードをセキ・グレンに投入した今、丸腰である。
「……それで、かのキーブレードマスターがこの私に何の用? ヘッドハンティングなら間に合ってるわ」
「……………………本気?」
「なかなか冗談が通じにくいのか? お堅い勇者様は柔軟性に欠けそうだからな。色恋沙汰は当然ないのだろう? 処女か? 未経験か? 初めてか? 未通か?」
「………………聞きたいことがある」
「良い。聞こう」
「ゼアノートはどこ?」
アクアの問いに無貌の王は表情を固めた。
予想外――――それもボーダーラインを遥か下回る内容だったようだ。凍った表情が溶け、徐々にシワが寄ってくる。
「逆に問おう。おまえの探すそのゼアノートとかいうものは……どれのことを指す?」
「どれ……? 言っている意味がわからないわ」
「嘘を言うなよ、キーブレードマスター。貴様には心当たりがあろう?」
無貌の王が嘯く。アクアはむっと顔をしかめた。
遠く、炎の魔人とふたりの勇者は戦っている。場を焦がし、熱を斬り、城を焼いている。
「……言い直すわ」
「良いわ、聞きましょう」
「……ここに、マスター・ゼアノートの残滓がいるはずよ。あのヴァニタスがいたのが何よりも証拠。だから、教えて。どこにいるのかを」
「残滓。残滓か。……およそ人間に使う言葉じゃあないなぁ。――――が、意図は問題なく伝わった。
人に憑き、意のままに操る術技。おそらくあのハートレスがやられたのも、それに似た手法だろうな」
「答えなさい。それとも知らない?」
「知っている。喚くなキーブレードマスター。受け継がれてきたモノが嘆き出すぞ。…………さて、しかし、困った」
「……なにを?」
「お前の問いにYes/Noで答えるのは簡単だ。しかし奴は既に…………いや、言うまい」
「なにを知ってるの?」
「答えよう。かの者はここにいる。断言しよう。なにせここは時の境界だからな。奴なら、入り込めもしよう。……ほら、貴様の欲しがった回答だ。もっと喜べよ」
「――――なにを知ってるッ!?」
アクアがキーブレードを引き抜いた。その剣尖を無貌の王に突き付ける――――より、早く。
首筋に冷ややかな感触が走る。
無貌の王が、アクアの首筋に突きつけたそれは。
――――『人の心のキーブレード』。
「そんなっ……あなた、さっき……!」
「規律、戒律、常識、ルール……。手前の物差しをこの俺にまで当てるその不遜とした気概、嫌いではないな。しかし不愉快だ」
無貌の王が片手を掲げた。背後でドス黒い穴が無数に開いた。さながら蜂の巣を想起する。
穴から黒い手が飛び出した。
それはアクアの手首を掴み、足を固め、関節を極めていく。
「意外か? たかが人の心だろう? 貴様の知るコレの製法ではどうなのかなど知らんが、この俺様の周りにはカスだが材料がいくらでも転がっているんでね。
幾万の心から、純粋な部分を繋ぎ合わせてこのように仕立ててみたわけ、だ。
汎用部品どうなのか作れるんだ。量産できても不思議あるまい? それとも一つの心に鍵は一つと定めたマスターの教えがトゥー・ハンドを許さんか?
まったく、貴様らマスターは頭が固い。これでは、あちらの方が道理をわきまえているとさえ思えるな」
「幾万って……正気!? あなたッ……!」
「貴様が気にするような話か? キーブレードマスター」
「私はっ……! このキーブレードを、友との、私達の……人の心のつながりを守るために受け継いだ! それを踏み躙るようなあなたは……許さない!」
「なにこいつ。ノリ悪くてやなかんじー。むこーのクソガキと同じこといっててチョーウケるんですけどー。
なに? あんたらウラで打ちとかやっちゃってるわけ?グループトークしちゃってるわけー?うっわキモ。ウチのハートレスに食われて死ねよブス」
瞬間。
アクアの目の前は、黒で塗りつぶされた。
セキに【人の心のキーブレード】を突き刺して、幾拍か。無貌の王は感嘆をあげた。
奥歯まで見えるほど口端を歪める。笑っている――――というより、激情を噛み殺している。そういう表情だ。
「実に不愉快だよ。……いや、そこは素直にお前のその精神性に脱帽するべきか。まったく…………実に不愉快だ」
吐き捨てて、より一層キーブレードを深々と突き立てた。キーブレードが沈んでいく。セキの体にキーブレードが埋まっていく。
やがて無貌の王はキーブレードから手を離す。川に流れるように、氷柱が融けるように、泥の沼に沈むように、キーブレードは落ちていく。セキ・グレンというハートレスの心奥に。
「誅罰だ。
…………先ほどまで友だ仲間だと行動を共にしていた連中に無残に切り崩されるがいい」
そして、ゆっくりと立ち上がった。
セキ・グレンだったそれは胸に大穴を開けていた。穴からは赤々と炎が漏れ出ている。炎は手足にまとわりつく。
あたかもそれは新たな手足のように。炎は両足に代わって地を踏みしめ、両手に代わって空を掻く。双眸に代わって大きな一つ目を煌めかせる。
咆哮が空を焦がす。白い壁を、床を、天井を黒く焦がして染め上げていく。
その様は――――野獣と何も変わらない。
ソラが何度も何度も何度も何度も相手にして、ことごとく斬り裂いてきた名前《心》のない怪物達とと。
「……セキ……?」
ソラの声に、炎の魔人は一瞬、動きを止めた。
剛腕がソラの胸を殴り飛ばす。
構えを崩していたソラは大きく吹き飛んだ。目が熱と光で白黒している。
叩きつけられた壁に手をつき、正面の炎の魔人に目を向けた。/セキ・グレンは死んだ。
キーブレードを構える。炎の魔人は汚らしく咆哮と炎を撒き散らしている。/目の前にいるのはハートレスだ。敵だ。友だちじゃない。知っている誰かじゃない。
炎の魔人が床を蹴った。ソラに向かって突進する。/倒せ。倒せ。倒せ。それがキーブレードの勇者の使命じゃないのか。
「……なんでだよ」
飛びかかってきた炎の魔人の剛腕をすり抜けて、ソラはキーブレードを握りしめた。
炎の魔人の真下をくぐり抜ける。無防備な背中をキーブレードの射程に収めた。魔人は気づいていない。
「なんでっ……こんなことになっちゃうんだよ!おまえ!」
感情を込めて、一閃を見舞った。炎が大きく歪み、炎の魔人は壁に激突した。
倒れる炎の魔人に思いっきり文句を吐きつけた。
おまえはヒスイを助けたかったんじゃないのか? あれは嘘だったのか? 震えるほど怖かったのを我慢して戦っていたのに?
おまえはこんなので満足なのか?
あの時の俺と同じように、おまえの中に大切な人はいるんだろう?
――――だったら!守ってみせろ!救い出してみせろよ!
「……俺はッ!さっきまでのおまえを嘘だなんて思わない!
俺とおまえと……ヒスイのつながりは、絶対嘘なんかじゃなかった!
セキ!絶対目を覚まさせてやるからな!さっさと起きろよ!」
ソ
ラが言葉を発している間、炎の魔人は背を向けたままだった。セキ・グレンの数倍はある炎の四肢は既に壁の中から体を助け起こし、十全な状態で立ち上がっていたにもかかわらず。
先ほどまでの獣性が嘘のように、動かない。
――――不意に、炎の魔人の右腕がしなった。
振り向きざまに右腕が伸びた。ムチのようなしなやかさで風を引き裂き、ソラに迫り。
炎のムチと衝撃は、床を剥ぎ取った。しかしバラバラと降りしきる瓦礫の雨あられはソラには当たらない。虹色の球体がそれを阻んだ。
「……なんていうかさ」
セキ・グレンと共にビビに乗ってやってきた栗毛の少年がソラの前に立ち、それを防いだのだ。その右手に握られているのは――――ソラと同じ、キーブレード。
「さすが、っていうのかな。こういうとき。さすがは――――俺と同じ、これに選ばれているだけ、あるもんだ」
「同じ……おまえも……?」
「不思議だな。なんでかわからないけれど、どうにもおまえは他人って気がしない。
……ああ、なるほどな。もしかしたら、あの人が俺のことをヴェンって呼んだのはそういうことなのかもしれないな」
「え……?」
「誰にでもつながりはある。そういうことだよ。……俺にも。あいつにだって」
虹色のバリアを周囲の熱気と一緒に払い、栗毛の少年はキーブレードを低く構えた。
――――キーブレードの構え方まで同じだ。確かに他人という気がしない。
「……俺とおまえ、ちょっとの間の協力ってことだったけどさ……いいのか? おまえがこのままじゃ、俺は好きにやらせてもらうからな。『予定通り』にだ。その意味、わかるか?」
今度は栗毛の少年の言葉を炎の魔人は静かに聴いていた。少年は続ける。キーブレードを払い、魔人から伝わる熱気を斬り裂いて、声高く宣言した。
「俺もだ。おまえと同じなんだよ。自分が誰かもわからない。名前だってつい最近の貰い物だ。……心を、記憶を呼び覚ます。今日はそのための手がかり探しだった。そういう任務だったんだよ。
なぁ、おまえは心も記憶も奪われて、その炎の殻に閉じこもったままか?
――――俺はいやだ。俺の心。俺の記憶……俺の意味。全部俺のだ。俺のものなんだよ。それを眠らせておいたままになんか、しておけないんだ。
――――人は! 眠ったままじゃいけないんだよ。目覚めるべきなんだ。俺も、おまえも、ヒスイだって。
……だからさ。もし、おまえがこのままなら、目覚めないのなら、その時は――――俺がおまえを消してやる」
「……耳が痛いわね」
ふたりの勇者が炎の魔人と相対する。その様をアクアは遠巻きに見ていた。
彼女の前には無貌の王がいる。キーブレードをセキ・グレンに投入した今、丸腰である。
「……それで、かのキーブレードマスターがこの私に何の用? ヘッドハンティングなら間に合ってるわ」
「……………………本気?」
「なかなか冗談が通じにくいのか? お堅い勇者様は柔軟性に欠けそうだからな。色恋沙汰は当然ないのだろう? 処女か? 未経験か? 初めてか? 未通か?」
「………………聞きたいことがある」
「良い。聞こう」
「ゼアノートはどこ?」
アクアの問いに無貌の王は表情を固めた。
予想外――――それもボーダーラインを遥か下回る内容だったようだ。凍った表情が溶け、徐々にシワが寄ってくる。
「逆に問おう。おまえの探すそのゼアノートとかいうものは……どれのことを指す?」
「どれ……? 言っている意味がわからないわ」
「嘘を言うなよ、キーブレードマスター。貴様には心当たりがあろう?」
無貌の王が嘯く。アクアはむっと顔をしかめた。
遠く、炎の魔人とふたりの勇者は戦っている。場を焦がし、熱を斬り、城を焼いている。
「……言い直すわ」
「良いわ、聞きましょう」
「……ここに、マスター・ゼアノートの残滓がいるはずよ。あのヴァニタスがいたのが何よりも証拠。だから、教えて。どこにいるのかを」
「残滓。残滓か。……およそ人間に使う言葉じゃあないなぁ。――――が、意図は問題なく伝わった。
人に憑き、意のままに操る術技。おそらくあのハートレスがやられたのも、それに似た手法だろうな」
「答えなさい。それとも知らない?」
「知っている。喚くなキーブレードマスター。受け継がれてきたモノが嘆き出すぞ。…………さて、しかし、困った」
「……なにを?」
「お前の問いにYes/Noで答えるのは簡単だ。しかし奴は既に…………いや、言うまい」
「なにを知ってるの?」
「答えよう。かの者はここにいる。断言しよう。なにせここは時の境界だからな。奴なら、入り込めもしよう。……ほら、貴様の欲しがった回答だ。もっと喜べよ」
「――――なにを知ってるッ!?」
アクアがキーブレードを引き抜いた。その剣尖を無貌の王に突き付ける――――より、早く。
首筋に冷ややかな感触が走る。
無貌の王が、アクアの首筋に突きつけたそれは。
――――『人の心のキーブレード』。
「そんなっ……あなた、さっき……!」
「規律、戒律、常識、ルール……。手前の物差しをこの俺にまで当てるその不遜とした気概、嫌いではないな。しかし不愉快だ」
無貌の王が片手を掲げた。背後でドス黒い穴が無数に開いた。さながら蜂の巣を想起する。
穴から黒い手が飛び出した。
それはアクアの手首を掴み、足を固め、関節を極めていく。
「意外か? たかが人の心だろう? 貴様の知るコレの製法ではどうなのかなど知らんが、この俺様の周りにはカスだが材料がいくらでも転がっているんでね。
幾万の心から、純粋な部分を繋ぎ合わせてこのように仕立ててみたわけ、だ。
汎用部品どうなのか作れるんだ。量産できても不思議あるまい? それとも一つの心に鍵は一つと定めたマスターの教えがトゥー・ハンドを許さんか?
まったく、貴様らマスターは頭が固い。これでは、あちらの方が道理をわきまえているとさえ思えるな」
「幾万って……正気!? あなたッ……!」
「貴様が気にするような話か? キーブレードマスター」
「私はっ……! このキーブレードを、友との、私達の……人の心のつながりを守るために受け継いだ! それを踏み躙るようなあなたは……許さない!」
「なにこいつ。ノリ悪くてやなかんじー。むこーのクソガキと同じこといっててチョーウケるんですけどー。
なに? あんたらウラで打ちとかやっちゃってるわけ?グループトークしちゃってるわけー?うっわキモ。ウチのハートレスに食われて死ねよブス」
瞬間。
アクアの目の前は、黒で塗りつぶされた。
■作者メッセージ
ヒロさんより頂いた3話目の投稿を開始でち