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番外・外伝夢旅人小説

夢旅人

INDEX

  • あらすじ
  • 01 番外第一幕
  • 02 番外第一幕 その2
  • 03 番外第一幕 あとがき
  • 04 外伝第一幕 神理の夢
  • 05 外伝第一幕 神理の夢 その2
  • 06 番外第二幕
  • 07 番外第二幕 その2
  • 08 番外第二幕 その3
  • 09 番外第二幕 その4
  • 10 番外第二幕 その5
  • 11 番外第二幕 その6改
  • 12 番外第二幕 その7
  • 13 番外第二幕 その8
  • 14 番外第二幕 その9
  • 15 番外第二幕 その10
  • 16 番外第二幕 その11
  • 17 番外 第三幕「クリスマスプレゼント前編」
  • 18 番外 第三幕「クリスマスプレゼント後編」
  • 19 KH 1-01
  • 20 KH 1-02
  • 21 KH 1-03
  • 22 KH 1-04
  • 23 KH 1-05
  • 24 KH 1-06
  • 25 KH 1-07
  • 26 KH 2-01
  • 27 KH 2-02
  • 28 KH 2-03
  • 29 KH 2-04
  • 30 KH 2-05
  • 31 KH 2-06
  • 32 KH 2-07
  • 33 KH 2-08
  • 34 KH 3-01
  • 35 KH 3-02
  • 36 KH 3-03
  • 37 KH 3-04
  • 38 KH 3-05
  • 39 KH 3-06
  • 40 KH 3-07
  • 41 KH 3-08
  • 42 KH 3-09
  • 43 KH 4-01
  • 44 KH 4-02
  • 45 KH 4-03
  • 46 KH 4-04
  • 47 KH 4-05
  • 48 KH 4-06
  • 49 KH 4-07
  • 50 KH 4-08
  • 51 KH 4-09
  • 52 KH 4-10
  • 番外第二幕 その11







    「―――ハッ!?」

     エンが意識を覚醒すると、そこは白い部屋ではなく、自分たちの席であった。
     机に突っ伏すように眠っていた彼は周囲を見て、隣に彼女がいる事に一先ず安堵しつつ、話かける。

    「スピカ……終わったのか、あれは」

    「ええ。きっちりと再演しちゃったわ」

    「……」

     頭を抱えそうになるが、表情に出すだけで堪えて、さっさとこのパーティーが終わってくれる事を切実に想った。

    「えー、エンさんたちの採点も終わり、今から結果発表です。まずは皆さん、お疲れ様でした」

    「……なあ、本当に順位つけれるのか。これ」

     神無は疑問に満ちた声で呟いた。それはアダムら審査のものに対してではなく、傍の妻ツヴァイに対してだった。
     コレまで見た自分たちを含めた夫婦の始まりのシーンを見たツヴァイは、否、この場に居る夫婦たちは想った。
     本当に一番が決まるのか、と。特にアガレス組のようなシーンを省いてもらったケースも在る。
     一同、複雑疑問そうな表情を隠しきれずに、その結果を待つ。

    「あらあら。みんな、ノリノリじゃあないわねー」

     けらけらを彼らを笑うように言ったのは審査側にいるカルマだった。
     その態度に、神無が言い返そうとした。

    「おい―――」

    「カルマ、何が言いたい?」

     が、エンが真っ先に彼女へと鋭い眼差しと共に、問いかける。
     彼の問いかけに、カルマは変わらずの様子で応じた。

    「何が? って、『自分と妻の思い出こそ一番』って考えるのが普通よ? 自分たちで深めた愛情、なのだから。
     なのに、他の夫婦のシーンを見て、一番である事を疑るなんて……馬鹿みたい」

    「貴様……」

     流石のエンも、他の夫婦組らも怒気を纏う。

    「思う壺よ。落ち着いて、みんな」

     だが、それを制するようにスピカが冷静に諭す。彼女から発せられる覇気に、神無らは一先ず怒気を収め、落ち着いた。
     カルマはその様子にやれやれとわざとらしく、肩を竦め、イリアドゥスに声を投じる。

    「下らないわ。イリアドゥス、やっぱり『夫婦でバトル』形式の方が手っ取り早かったんじゃあないの?」

    「私としては、この方法が良かったと想うわよ。カルマ。――大切に培った想いを私は思い知った」

    「あっそ」

     つまらないとはき捨てつつ、カルマはそれ以上何も言わない。
     そんな様子にアダムや他の審査のものも呆れつつ、イリアドゥスは夫婦らに話を切り出す。

    「最初は褒賞を目的に、自分たちの過去を再演して自分こそは、と想ったのに、今では皆『それぞれでいいじゃないか』って顔をしているわね」

    「じゃあ、どうするので?」

     話に質問したのは審査側のハオスだった。
     他の一同もその疑問で満ちた視線を投げかける。
     イリアドゥスはその視線に気にせず、端然と話を続けた。

    「―――なら『それぞれでいいじゃないか』」

    「……………は?」

     その言葉を理解し、開口一番に声を上げたのはカルマだった。
     彼女の脳内プランは先の『夫婦でバトル』というサバイバルで、とりあえずエンとスピカが暴れまわって、ソレを肴にけらけら笑っておこうとしていた。
     が、イリアドゥスの言葉に、意味に、真実に、カルマは呆然とした。

    「そう在れと想ったなら、それでいいわ。後日、あなた達にそれぞれに適した褒賞を用意するわ。今回は、これでお開きよ」

     そう言って、企画の幕は下りた。
     唐突の終幕に、全員が何も言い返せず、静止も出来ずに唖然とした。




    「…やれやれ、何のための暴露大会だったんだよ」

     企画が終わらされ、ただ唖然としていた者たちはそれぞれ帰るか、用意されたパーティーの続きとして再開した。
     といっても最初のような賑やかさは無く、閑散と静かに楽しんでいる。
     神無は本当に疲れた様子で注いだ冷水を呑み、気を紛らわせた。

    「まあ、良かったんじゃないからしら。変な順位決め付けられてたら、それこそバトルになっていただろうし」

     彼の呆れが満ちた言葉に、ツヴァイも彼と同意しつつ冷水でゆっくりと気を楽にした。

    「カルマの思い通りにならなかっただけ、よしとすればいいさ」

    「あの悔しげな顔でこっちもスーっとしたし」

    「夫婦ってのも楽じゃねえのに、ご苦労様だな」

     そう声をかけて来たのはエン、月華、ゼロボロスだった。
     それぞれ飲み物を手に取りつつ、二人の話に入ってきた。
     神無は部屋を見回し、次に周囲を見直してからエンに問いかける。

    「お前、スピカはどうしたんだ?」

    「彼女は今、リヴァルの方に戻った。…下らない企画に巻き込まれたけど楽しかったとな」

    「ハハハ」

    「――ってか、ゼロボロス。てめえ、ずっと審査していたくせに黙っていたのはなんでなんだ?」

     陽気に笑った彼に神無は怪訝そうに問いかける。そういうことを好む気質ではないと想っていたのだが。
     そう問われるや、ゼロボロスは陽気さを潜め、面倒そうに話を切り出す。

    「あー? 俺も『元』夫婦みたいなもんだからな。他の奴らのそういうあれこれに興味があったから、イリアドゥスの誘いに応じたんだよ。
     ハオスも、凛那と同じさ。暇だったから、誘われたくらいだ。俺みたいな経験側じゃあねえ」

    「カルマは結局、嫌がらせで参加したわけか……あの性悪」

    「流石に呆れちゃうわね」

    「うるさいわね! 聞こえてるわよ、そこの幼馴染の癖に負けたヒロイン(笑)ィ!!!」

     エンや月華の言葉に、怒声と共にカルマが近づいてきた。
     とりあえず、二人を抑えつつ、神無が対応する。

    「アンタの目的は俺らが戦わせることだったのか?」

    「そんな分けないでしょ。キャットファイトとかも面白そうだったかなと想っただけよ。ほんと、下らない終わり方」

     そうはき捨てつつ、カルマは仮面を取り付け、姿を消した。彼女の気配が消えたと共にエンが口を開く。

    「……本編では、アイツと組んでいるから仕方が無いが……すまん」

    「気にしないでいいわよ、ねっ」

    「きっと付き合った奴とか居ないんだろう。相手を思い遣れねえのさ」

     などと、各々辛らつに言い合い、けらけらと笑いあう。
     他の会話の輪では、チェルらが無轟らと会話しあっていた。

    「なあ、アンタはもしイリアドゥスの褒賞がもらえたら、何を望んでいたんだ?」

    「それは、まずは自分から言うものではないのか?」

    「名前じゃねえんだから………ん、そうだな」

     腕を組んで、暫くの熟考をしたチェルはゆっくりと答えを言う。

    「たまには日の光がいい世界で旅行とか、かな」

    「意外と家族想いですね」

    「うるせえ」

    「それもいいわね、さすがチェル」

     ハオスや妻の賛辞に、照れ臭そうに話を切り上げ、そっぽを向く。
     その様子を無轟らはくすくすと笑みを零し、

    「家族旅行、か。そういえば、世界を旅せどそういった趣向での旅行はしたことが無かったな…」

    「なら、今から何処かの世界で旅行しましょうか。幸い、直ぐにでも『家族旅行』はできるわ」

    「じゃあ、私が神無たちを呼んでくる」

     彼の提案に、汲み取るように凛那が素早く動き出して神無たちに話し掛けていった。
     無轟と鏡華は小さな笑みを交わして、神無たちのほうに歩み寄っていった。




     神無たちが居る巨城の最上階に位置する小部屋で、

    「―――じゃあ、なんであんなの始めたのよ。訳がわからないわ」

    「そう? 面白く、深い話ではあったわ」

     姿を消していたカルマはイリアドゥスと話をしていた。
     意図としては、折角の企画を勝手な形で幕を下ろしたことへの追及であった。
     呆れたように言う彼女に対し、イリアドゥスは淡々と、しかし、楽しげに返す。

    「はあ…」

     肩を竦めて、壁に背もたれる闇に潜めるカルマに対し、
     テラスに寄り添うように立つイリアドゥスは夜に浮かぶ月を浴びながらも見上げつつ、話を続ける。

    「私に対となる存在は居ない。夫婦というものがどうにも解らなかった」

    「だから、他人の夫婦の話で知識を補う?」

    「おかしな事?」

    「まず、好きな人を見つけてからしなさいよ」

    「それも、いいけれど…………そういうの、解らないのよ」

     カルマの言葉に、イリアドゥスははっきりと言い換えせずに言った。
     彼女らしくないと思い、カルマは苦笑を仮面の下で浮かべた。

    「まあ…私がこれ以上言う気も無いわね。面白うだった企画だったのに、滅茶苦茶にしてみたかったわ」

     そう言って、カルマは今度こそ闇に消える。イリアドゥスは一息ついて、

    「好きな人――――ね」

     思い浮かべたある人物を想って、らしくないとイリアドゥスは夜の月を見つめる。淡い苦笑と共に。
     

    14/08/10 15:25 夢旅人   

    ■作者メッセージ
    番外の第二幕「夫婦組」の話はいかがでしたか。
    夫婦キャラたちの馴れ初めの話を中心にしたストーリーです。
    番外編は設定の一部を無視してギャグに楽しもう的なものです。ふざけた喋りとか、ネタ台詞を使うのも愛嬌です。

    自分の夫婦キャラと今回NANAさんの夫婦キャラからそれぞれ話を作りまして、色々と楽しかったです。
    いろんな夫婦キャラがいるので、馴れ初め、出会いのキッカケなどがそれぞれ必要で、同じ色で作るのもアレかなという事でいろんなパターンを構築。

    神無・ツヴァイ組のような、基本的な夫婦の始まりから、
    アガレス、ハゲンティ、フェミニアのような修羅場など。
    エン、無轟のような激しい戦闘があったりなかったり…

    更新に手間取る事が多かったり、粗雑な出来になってしまった所も多いですが…申し訳ない。

    次は外伝、番外どちらでスタートするのは未定ですね(番外の方ではネタは一応あり)。
    リレー小説本編もありますし、慌てずゆっくり、しっかりと更新していきたいです。

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